12AV5PPアンプ改造   平成27年2月15日 


OPTを交換した12AV5PPアンプ  改造前のページはここ


《 はじめに 》

 このアンプは平成24年12月に製作した12AV5PPアンプを改造したものである。

《 使用部品 》

 OPTを春日製KA−6635Qからタンゴ製CRD−8に、初段の6EJ7を手持ちの球(松下製)に、Ec2電圧安定化用の6CW5は6CH6に交換した。 その他の主要部品はほとんど流用した。

《 回路構成 》

 KA−6635Qは1次インピーダンス5KΩカソード帰還用巻線付であったが、CRD−8は1次インピーダンス8KΩである。 以前は前段用B電源を別回路にして高圧(446V)を供給していたが、カソード帰還回路が無いため、ピークドライブ電圧は20〜22V程度に収まるので、今回は出力段と共用にして簡素化する。 12AV5のEc2電圧は6CH6(3結)による定電圧回路により117Vまで下げて供給した。
 改造前の出力段バイアスは半固定バイアス方式であったが、今回は固定バイアス方式に変更した。 カソード帰還をやめたことにより出力段時定数が小さくなったので、カップリングコンデンサーを0.047μFに、グリッドリーク抵抗を100KΩに変更した。
 カソード帰還を外したことにより、裸利得が大きくなったので帰還回路の回路定数も見直した。

《 最大出力、測定結果 》

 入力0.21Vで約16Wの最大出力が得られ、少し高感度過ぎる状態である。 プレート電圧が20V程度上昇したにも関わらず1次インピーダンス8KΩの影響で改造前よりも少し低下した。 無信号時における実質プレート電圧303V、Ec2電圧117V、プレート電流30mAで、プレート損失は9.09Wである。 片CH最大出力時のプレート電流は50mAに増加するが、プレート電圧の低下は6V、Ec2電圧の低下は1Vに収まっている。 これはPTの容量とCH入力の効果と思われる。Ec2電圧の安定性は完ぺきである。
 周波数特性は80KHZで−3dBとなり、まずまずの特性である。パワーバンドワイズは30HZ〜50KHZで10Wを超え、低域、高域の最大出力特性は改善された。
 NFB14dB、残留雑音は0.2mV未満、DFは4.9であった。カソード帰還が無い分、DF値が小さくなっている。クロストーク特性も中域では残留雑音以下である。

《 ロードライン、Ec2電圧の検討 》

 下図は12AV5のEc2電圧をパラメーターとしたプレート特性である。 この図にプレート電圧300Vとして2KΩのロードライン(青線)を引いてみた。
 これによれば117VのEc2電圧は少し高過ぎ、110V程度が最適値と思われるが、このままでも問題はない。
 青線のロードラインに基づいて計算した最大出力は(300−37)×0.13÷2=17.1W、OPTの効率を93%(−0.6dB)とすれば2次側最大出力は15.9Wとなり、ほぼ実測値に一致している。




《 その他 》

 このアンプは16Ω端子に8Ωの負荷を接続して1次インピーダンス4KΩとすればかなりの高出力が得られる。 上のプレート特性上に1KΩロードラインを引いたものが緑線である。  この場合、Ec2電圧を170V程度にする必要が有ることがわかる。
 その時の最大出力は(300−50)×0.25÷2=31.25Wとなるが、プレート電圧が低下するため最大出力は30W程度と思われる。 プレート損失11Wの球としてはプレート電圧が高々300Vで30Wは驚異的な出力である。ただし、歪が多くなることは否めない。
 この様にEp>Ec2である水平出力管は適正なスクリーン電圧で使用すれば高効率なアンプに仕上げることが出来る。



内部配線



背  面

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