12AV5(3結)PPアンプ   平成28年4月3日 


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《 はじめに 》

 先日、シルバニア製傍熱型カソードタイプの6B4Gは6AV5GT(GA)を3極管接続したものではないか?との情報を入手した。 内部電極も見た目は酷似している。 そこで昨年自作した12AV5PPアンプを3極管接続に改造して実験を試みることにした。
 右の写真は左が6B4G(シルバニア)、右が12AV5(シルバニア)である。 ゲッターの位置とコントロールグリッドの放熱フィンが異なっている以外、プレートの形状、ビーム電極、ヒーター電力(7.56W)などは全く同じである。 残念ながらグリッドのピッチなどは不明であるが、6AV5GT(GA)を3極管接続にして6B4Gを製造したという説は真実かもしれない。 もちろん、内部電極引き出しピンは異なっているので6AV5であっても6B4Gと差し替えることはできない。
 下表は6AV5の最大定格(設計中心値)であるが、スクリーングリッド電圧の最大値は175Vとなっている。これに300Vを印加して問題はないだろうか。 プレート損失11W、スクリーングリッド損失2.5Wとなっているが、3結にした時の許容損失は11Wだろうか。 とりあえず試作して、しばらく様子を見ることにした。


  6B4G       12AV5(6AV5)


《 使用部品 》

 使用した電源トランスは12AV5×4OTLアンプに使用されていたもので、B電源容量は十分と思われるが、6.3V巻線がない。 そこで、ノグチトランス製PM−632Wを併用した。 CHコイルはノグチトランス製PMC−228H(2H280mA)で、トランス類は改造前と同じ構成である。
 OPTはタンゴ製CRD−8、初段は6EJ7(松下製)の3結はそのままで位相反転段は12BH7Aに交換した。 出力管の12AV5は3極管接続に変更して使用した。 また、SG電源は必要ないのでSG電圧安定管6CH6も不要となった。その他の主要部品はほとんど流用した。

《 回路構成 》

 使用した電源トランスのB巻線は340Vのみで、このままブリッジ整流したのでは高すぎるので、CHインプット方式とする。 また、固定バイアスは65V前後が想定されることから25V巻き線を3組直列にしてからブリッジ整流する方法に変更した。
 OPTのCRD−8は2次側16Ω端子に8Ω負荷を接続し、1次インピーダンス4KΩで使用する。 ビーム管接続時のバイアス電圧は−21V程度であったが、3極管接続の場合のバイアス電圧は−65V前後となるため、12AU7ではドライブ電圧不足に落ちいる可能性があるので12BH7Aに交換した。
 3極管接続にしたことより出力段時定数が小さくなったので、カップリングコンデンサーを0.1μFに変更した。
 出力段の利得が低下したため帰還回路の回路定数も見直した。

《 最大出力、測定結果 》

 無信号時のプレート電圧302V、バイアス電圧61〜65Vの条件で14.5W(1KHZ)の最大出力が得られ、2A3の動作例とほぼ同等の結果が得られた。 その時の入力電圧は0.51V、最大出力時のプレート電圧は291Vであった。 また、無信号時のプレート入力は10.8W、スクリーングリッド入力は0.67Wであった。 最大出力時のスクリーングリッド入力は1.3Wどまりで最大損失の約50%に収まっており、全く問題ない。
 6B4Gはプレート電圧325Vの時の最大出力が15Wであるから、6AV5(3結)PPの方が少し上回っている模様である。
 周波数特性は115KHZで−3dBとなり、まずまずの特性である。それ以上の帯域でも目立ったピークやディップは発生していない。 パワーバンドワイズは18HZ〜35KHZで10Wを超えている。 10KHZのひずみ率が少し悪化しているが、100HZと1KHZでは10Wまで0.37%未満である。10KHZは0.7%未満。
 NFB9.3dB、残留雑音は0.12mV未満、DFは5.6であった。クロストーク特性も20HZ〜20KHZで85dB以上が確保されている。

《 その他 》

 完成してから数日間は問題なく動作していることから、確定ではないが「6AV5(12AV5)の3結が6B4G(シルバニア)ではないか?」とのうわさは正しいかもしれない。



内部配線



背  面

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