17KV6APPアンプ    平成23年2月16日   




  1. はじめに
     このアンプは平成20年に製作した17KV6APPを少し変更したものである。改造内容はPP間負荷抵抗5KΩであったものを2.5KΩに変更し、さらに大出力を狙った。 しかし、OPTを交換したわけではなく、16Ω端子に8Ωを接続するだけの小変更である。
     この方法ではOPT(XE60−5)の定損失が約50%増加して0.31dB程度となるが、それでも電力効率換算で96.5%と高能率である。 

  2. 回路構成
     17KV6A(6KV6A)5結のプレート特性図がWEBで検索してもみつからないため、手探り状態で設計するしかない。 最大プレート電圧は900Vで余裕があるが、スクリーン電圧は220Vを超えてはならない。 そこで6BQ5(3結)と定電圧ダイオードを使った簡単な定電圧回路てスクリーン電圧を供給する。
     PP間2.5KΩではスクリーングリッド電圧を下げると最大出力が低下するので196Vに設定した。PP間5KΩの場合は160Vもあれば十分である。
     17KV6Aの許容プレート損失は28Wと球のサイズからすれば大きいが、スクリーングリッド損失は2Wである。しかし、ビーム管であるためか、最大出力時のスクリーングリッド損失は約1.8Wで定格内に収まっている。
     無信号時のプレート損失は18.8W(定格の67%)、最大出力時のプレート損失は約26Wである。 最もプレート損失が大きくなる中出力時には定格をオーバーしていると思われるが、使用上は問題ないであろう。
     初段は12AU7ASRPP、ドライブ段は6CG7カソード結合型位相反転回路で前作と変えていない。
     17KV6Aのヒーターは6.3V2組と5Vを直列にし、1Ω6W(3Ω2Wを3本並列)で電圧ドロップして供給している。

  3. 測定結果
     最大出力はP-P間2.5KΩとし、スクリーン電圧を安定化した効果は絶大で、最大出力は右CH75W、左CH73Wが得られた。 この小さな球にしては非常に大きな出力である。もっとも、17KV6Aのヒーター電力は10.08W(16.8V0.6A)とEL34(9.45W)よりも大きく、KT88と同じであるから、当然の結果かも知れない。 PP間5KΩ負荷とすれば歪率をかなり低下させることができるが、最大出力は50Wどまりである。
     残留雑音は右CH0.5mV、左CH0.6mVと少し多く、オンオフ法で測定したDFは2.6であった。 しかし、NFBが8.7dBでは我慢せざるを得ない値である。 これ以上NFBを増加するとリンギングが大きくなる。 雑音の内容はフリッカー雑音が主たるものであるから、初段の球を選別すれば、もう少し残留雑音を低下させることができるかも知れない。

  4. その他、まとめ
     17KV6Aは大きな出力が得られるにもかかわらず、非常に廉価である。今回はフロービスからペアーチューブ1組2800円で2組購入した。ソケット(ノーバル9P)も同じところで販売している。 スタイルは上部に空気抜きがある為、MT管を太くしたドングリ型でスタイルがあまりよくないことが欠点である。



内部写真

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