21GY5PPアンプ2号機  平成31年2月13日 


21GY5PPアンプ2号機


《 はじめに 》
 先日、KMQ−60の残骸をオークションで入手した。電源トランスは使用できる状態であったので、このアンプを製作することにした。
 しかし、電源トランス(S−1791)は50CA10の使用が前提で設計されているため、他球を使用するにはヒーター電源の確保が難しい。 手持ち球の中に21GY5が8本あったので、何とか使えないかと知恵を絞って製作した。

《 使用部品 》
 OPTはタンゴ製FE−25−5、電源トランスはラックス製S−1791を使用する。 CHコイルは付属していたC−1744のインダクタンス0.9Hではインダクタンス不足が予想されるのでノグチ製PMC−228H(2H)に交換する。
 ケースはKMQ-60を分解したもの、出力管は21GY5(GE製)を使用する。他に12AX7を2本、6414を2本、6AQ5を1本使用する。 6414と6AQ5のヒーターは6.3V450mAである。
 21GY5、6414、6AQ5の計7本を直列(21×4+6.3×3=102.9V)にしてAC100Vで点火する。 初段のみ6.3Vから供給する。

《 回路構成 》
 初段は12AX7A(ECC83)のSRPP、位相反転段は6414(パラ)のPK分割型である。
 出力段は21GY5のビーム接続PPとする。21GY5の最大SG電圧は220Vであるため一工夫が必要である。 B電源は340Vを両波整流、CHインプット方式とする。コンデンサーインプットでは電圧が高すぎて具合が悪い。 CHインプットの必要インダクタンスは下記の計算式で求めることができる。

  L≧(RL+Rsd)/6πf   RL:負荷抵抗 Rsd:電源インピーダンス

  RL+Rsd=2000Ωと仮定すればCHコイルのインダクタンスは L≧0.88H と計算できる。

 問題となるSG電源は6AQ5(T)で100Vに安定化して供給する。これにより最大出力時のSG電流増加に対応出来る。
 下図の青線はSG電圧90V時のEc=0Vの特性である。 この図に最大出力時のプレート電圧を302Vと仮定して1.25KΩのロードライン(赤線)を引いて最大出力を計算した結果

  (302-32)×0.210÷2≒28.35(W)

 となる。更に、OPTの効率を93%とすれば

   28.35×0.93≒26.37(W)

 と計算できる。



《 最大出力、測定結果 》
 入力約0.8Vで26.3Wのノンクリップ最大出力(1KHZ)が得られ、ほぼ計算通りであった。
 20HZにおける最大出力は中域の38%程度まで低下し、FE−25−5の低域特性はOY−15−5と比較して少し貧弱である。 残留雑音はLch1mV、RCH0.8mVで少し多いが、SPから50pではほとんど聞こえないので十分である。 NFBは14dB、DFは4.5(ON-OFF法)であった。
 周波数特性は87KHZで−3dBと良好、それ以上もなだらかに減衰し、ピークやディップは見られない。 10KHZ矩形波応答ではわずかにリンギングが発生しているが、この程度であれば全く問題ないと思われる。 容量負荷時の矩形波応答も比較的安定している。 クロストーク特性はかなりあまり良好とは言えないが、中域で70dB以上取れている。 それ以下は残留雑音のため測定不能であった。
 10KHZの歪率が他と比べて悪い、また低出力時ひずみ率が悪化している原因は残留雑音の影響である。

《 その他 》
 PK分割段までAC100Vで点火したため、60HZの混入が心配であったが、残留雑音は三角波ではなくCHインプットのきれいな120HZ残留リップルであった。 5H以上のインダクタンスを持ったCHコイルに交換すれば改善できると思われるが、スペース的に取り付けは不可である。
 最初、70KHZ付近の高域発振を疑う微弱な波形を観測した。 そこで、出力管グリッドのパラ止め抵抗を3.3KΩから5.1KΩに交換し、さらにPT1次側端子の一端をコンデンサー(0.05μF)でアースに接続したところ、消すことができた。
 下の写真参照。どちらもCHインプットによる120HZ残留リップル。
 その結果、電源プラグの向きによりシャーシー対大地間電圧が50V程度に上昇した。 感電するほどではなかったが、通常の使用時は電源プラグをシャーシー対大地間電圧が低い向きに挿入して使用したほうが安全である。
寄生発振を伴った残留雑音波形1.2mV
寄生発振が消えた残留雑音波形0.8mV


内部配線



背  面

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