21GY5(3結)PPアンプ   平成24年10月3日 


21GY5(3結)PPアンプ


《 はじめに 》
 平成23年10月に名古屋のH田氏から頂いた多数の水平出力管の中に9本の21GY5(GE製)があった。 OTLアンプにも使用できるが内部抵抗が少し高く、最大出力は5〜6W程度しか望めない。詳しくは「6GY5SEPPOTLアンプの最大出力」参照。
 そこでPPアンプに仕上げることにしたが、SG電圧を下げてプレート電圧を上げれば30W程度の最大出力となるが、3極管接続では最大SG電圧に制限されるため最大出力は10〜13W程度と思われる。

《 使用部品 》
 シャーシーは奥澤のO−4に150番サンドペーパーを当ててクリアラッカーを吹き、両サイドには水性ニスで仕上げた木板を取り付けた。
 電源トランスはMX−280、CHコイルはMC−3−350、出力トランスはFE−25−5を使用した。O−4は板厚が1.4oであるため、補強アングルを取り付けた方が良い。
 使用真空管は12AT7(松下とPhilips)、6FQ7(東芝)、21GY5(GE製)を使用した。

《 回路構成 》
 初段は12AT7によるSRPP、位相反転段は6FQ7によるカソード結合型である。MX−280のヒーター巻線は6.3/2.5V5.2Aが2回路、6.3V3A、5V3Aがそれぞれ1回路である。 これらの巻線を組み合わせて21V1.8Aと6.3V1.8Aを供給する。回路図参照。
 21GY5の最大SG電圧が220Vのため、B電源はチョークインプット方式としプレート供給電圧255V、カソードバイアス25Vの予定であったが、少し電圧降下が大きく、実質プレート電圧は215Vとなった。 
 出力段のバイアスは固定バイアス、自己バイアス折衷方式で、実質バイアス電圧は35Vである。 しかし、プレート供給電圧250V程度のカソード結合型位相反転回路ではピーク値35Vのドライブ電圧はぎりぎりである。そこで出力段とは別に350V程度の第2B電源を用意した。 また、プレート電流測定用としてカソードに3Ω2Wを挿入した。


《 最大出力、測定結果 》
 入力0.57Vで12Wの最大出力が得られた。無信号時のプレート電流は66mA、4本で264mA、前段を含めれば278mAとなりMX−280の定格を超えるが、CHインプットを採用した結果十分規格内に収まっている。
 周波数特性は80KHZで−3dBとなりまずまずの特性である。500KHZ付近にディップが見られるが大きな暴れはない。パワーバンドワイズは15HZ〜20KHZで10Wを超えている。
 NFB13.5dBで少し多いが、残留雑音は0.05mV、DFは11であった。
 10KHZにおける雑音歪率があまり芳しくないが100HZ、1KHZはかなり良好である。無信号時のプレート電流を多めにセットした効果と思われる。 無信号時のプレート損失は14.2Wで最大損失の79%となり、ほとんどA級に近いAB級動作と思われる。

《 その他 》
 最近CHインプット方式はほとんど使用されなくなったが、B電圧の調整、あるいは電流容量不足を補う目的であれば非常に有効である。 今回使用した21GY5はいただきものであるが、フロービスで1本700円にて入手可能である。余り人気がないためか安価である。



内部配線



背  面

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