25E5B1級PPアンプ  平成29年10月22日 


25E5 B1級PPアンプ


《 はじめに 》

 先日、兵庫県のY氏から25E5を10本譲って頂いた。40年前に25E5PPアンプを自作したときはSG電圧が高すぎてすぐにだめにしてしまった。 そこで、今回は回路を十分に練って安定動作するPPアンプを製作することにした。
 25E5はPL-36(6CM5)と同じ特性であることから、WEBで検索したところ、下記の動作例が見つかった。
 ただし、ピン接続が少し異なっているので注意が必要。



 上の表によればプレート電圧300V、SG電圧150V、P−P間負荷抵抗3.5KΩで44.5Wの最大出力となっている  プレート損失10Wの球にしては驚異的な最大出力である。 しかし、B級動作のため、最大出力時のプレート電流、SG電流は非常に大きくなり、プレート電流で約5倍、SG電流では38倍に達する。 そのためプレート電圧とSG電圧の安定が必須である。

《 使用部品 》

 OPTはラックスOY−15−5、電源トランスとCHコイルはラックス4A60、4BC-1.3を使用する。 ケースはKMQ-60を分解したもの、出力管は25E5(松下製)を使用する。
 MQ-60系に使用されていた電源トランスの中でも6.3V巻き線容量が2AとなっているS-1791では位相反転段の6FQ7を12AU7に変更すれば使用可能である。 S−1590、8A70など6.3V巻き線容量が1Aの製品は使用できない。 
 4A60はS-1791などと取り付けビスの位置が同じで加工無しで取り付け可能であるが、CHコイルの4BC-1.3はC-1744(KMQ-60純正)とは取り付けビス穴の位置が異なっているので加工が必要となる。

《 回路構成 》

 初段は12AU7AのSRPP、位相反転段は6FQ7によるカソード結合型である。 特に変わった回路ではなく標準的なムラード型である。
 使用したOPTはP-P間5KΩのため上記動作例とは違っているのでSG電圧も変更する必要がある。 B電源は350Vを両波整流、CHインプット方式とする。コンデンサーインプットでは電圧変動率が大きくなって具合が悪い。 問題となるSG電源は6AQ5(T)で120Vに安定化して供給する。これにより最大出力時のSG電流増加に対応出来る。 4A60には6.3V3A巻き線が2組装備されているので6AQ5は単独で点灯しているが、他球と共用することも出来る。
 下図は最大出力時のプレート電圧、SG電圧に基づいて作成したプレート特性図であるが、SG電圧をもう少し低くした方が最適化されると思われる。
 この図に1.25KΩのロードラインを引いて最大出力を計算した結果

    (300-44)×0.204÷2≒26.1(W)

 となる。更に、OPTの効率を92%とすれば

     26.1×0.92≒24(W)

 と計算できる。



《 最大出力、測定結果 》

 入力0.8Vで23.5Wのノンクリップ最大出力(1KHZ)が得られ、ほぼ計算通りであった。 最大出力時のB電源は332Vから313Vへ低下(プレート電圧は328Vから300V)、SG電圧は120Vから109Vへの低下であった。 いずれも片CH最大出力時の電圧。 やはり、CHインプットと定電圧回路の効果は著しい。CHコイルのインダクタンスが1.3Hでも十分効果が得られていると思われる。
 20HZにおける最大出力は中域とほぼ同程度が得られ、低域特性は非常に優秀である。 残留雑音はLRchとも0.35mVで少し多い。DFは3.6(ON-OFF法)であった。
 周波数特性は150KHZ付近のカーブが少し奇妙であるがまずまずの結果が得られた。 10KHZ矩形波応答ではリンギングが発生しているが、この程度であれば全く問題ないと思われる。 クロストーク特性はかなり良好で、中域では90dB以上取れていると思われるが、残留雑音のため測定不能であった。
 10KHZの歪率が他と比べて悪いが、B級アンプ独特のカーブ(上に凸)を描いている。

《 その他 》

 OY型OPTの低域特性は非常に優秀であるが、断線故障が多い傾向が見られる。 25E5はヒーター電圧が25Vであることから4本直列にしてAC100Vで点火できるので非常に便利である。



内部配線



背  面

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