2A3 AB1級PPアンプ2号機
平成30年7月31日
2A3 AB1級PPアンプ2号機
《 はじめに 》
このアンプは愛知県のS氏から、手持ちの2A3を使ったPPアンプが製作できないかとの依頼に答えたものである。
《 使用部品 》
シャーシーは奥澤製O−2(400×300×70)にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドには水性ニスを塗った木板を取り付る。
OPTはタムラトランス製F−925A、電源トランスはタンゴ製MX−280、CHコイルもタンゴ製MC−3−350を使用する。
使用球はカニングハム製2A3、ムラード製ECC83、RCA製12AU7A、シルバニア製5U4GBで、すべて支給品を使用する。
《 回路構成 》
初段はECC83のSRPP、位相反転段は12AU7によるカソード結合型とする。
2A3の固定バイアス動作例ではP−P間3KΩ負荷、プレート電圧300Vの条件で最大出力15Wとなっている。
PP間5KΩのOPTでは最大出力がわずかに低下する一方、ひずみの低下が期待できる。
B電源は2段構えとし出力段用は280Vを5U4GBで整流し313Vを供給、前段用は320Vをダイオード整流して約409Vを供給する。
高いドライブ電圧が要求されるため、300Vでは少し苦しいと思われるので400V以上とする。
バイアス用マイナス電源は70Vを半波整流してマイナス71〜76Vを供給する。
無信号時、2A3プレート電圧は308V、プレート電流は35mAでプレート損失は約10.78Wに設定する。
直熱管ではプレート電流測定用の低抵抗がカソード側に取り付けできない。
前作のOPT(OY−15−35HP)はB1とB2が分離されているのでB電源とOPTのB端子間に挿入することができたが、F−925AのB端子は分離されていない。
そこで、調整時に危険を伴うのであるがOPTのP端子と2A3プレート間に3Ω2Wを挿入する。
また依頼者からの希望で入力VRはなしとする。
《 最大出力、測定結果 》
1KHZにおける最大出力は入力0.42Vで12.5Wが得られた。
最大出力時のプレート電圧が動作例よりも下がること、負荷抵抗が規定値の3KΩではなく5KΩとしたことなどのため、最大出力15Wは得られなかった。
20HZにおける最大出力は中域の約92%程度得られている。さすがタムラトランスである。
NFBは11.5dB、残留雑音はLch1.2mV、Rch0.3mV、DFは8.6であった。
LCHの残留雑音が少し大きいが、2A3の劣化が原因と思われる。
残留雑音は比較的きれいな60HZ波形を示しているためかSPに耳を近づけてもほとんど感知できないレベルである。
ハムバランサーを調整すればRCHと同程度まで下げることができるが、その場合はひずみ率がかなり悪化するので、ひずみが低くなる位置に調整した。
それでもLCHのひずみ率はRCHよりも悪い。。
周波数特性では280KHZ付近に小さなピークが発生しているが、それ以上の帯域はなだらかに減衰している。10KHZ矩形波応答も良好である。
クロストーク特性ではR→Lのデータがほぼ−72dBで一定となっているのは残留雑音の影響を受けているためである。
《 その他 》
トランスの重量が大きく、1.5mmのシャーシーでは強度が不足したので、中央にアルミアングルを取り付けた。
内部配線
背 面
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