2A3 AB1級PPアンプ  平成28年4月29日 


 2A3 AB1級PPアンプ


《 はじめに 》
 直熱管PPアンプの自作経験がなかったので、手持ちの2A3(東芝、マツダ)6本の中から選別してこのアンプを製作した。

《 使用部品 》
 シャーシーは奥澤製O−4にシルバーメタリック塗装を施して使用し、両サイドには水性ニスを塗った木板を取り付けた。
 OPTはオークションで入手したラックスOY−15−3.6KHP、電源トランスはタンゴ製MX−280、CHコイルは山水製と思われる2H250mAを使用した。
 使用球は6267(松下)、5687(東芝)、2A3(東芝×1、マツダ×3)、5U4GB(日立)で、すべて日本製を使用した。 マルコーニ製、ジムテック製も各2本あったが、スタイルが異なるため使用しなかった。

《 回路構成 》
 初段は6267の3極管接続、位相反転段は5687によるカソード結合型とする。
 2A3の固定バイアス動作例ではP−P間3KΩ負荷、プレート電圧300Vの条件で最大出力15Wとなっている。 PP間3.6KΩのOPTでは最大出力がわずかに低下すると思われるが、ほとんど影響ないであろう。


 B電源は2段構えとし出力段用は280Vを5U4GBで整流し304Vを供給、前段用は320Vをダイオード整流して約400Vを供給した。 高いドライブ電圧が要求されるため、300Vでは少し苦しいと思われるので400Vにした。 バイアス用マイナス電源は70Vを半波整流してマイナス62〜64Vを供給した。
 無信号時、2A3プレート電圧は301V、プレート電流は39mAでプレート損失は約11.8Wに設定した。
 直熱管ではプレート電流測定用の低抵抗はカソード側に取り付けできないので、今回はB電源とOPTのB端子間に挿入した。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZにおける最大出力は入力0.72Vで12Wが得られた。 最大出力時のプレート電圧が動作例よりも下がること、OPTの定損失などの影響を受けて、最大出力15Wは得られなかった。
 20HZにおける最大出力は中域の85%程度得られている。さすがに40HZ50WのHPタイプである。 NFBは10.3dB、残留雑音はLch0.25mV、Rch0.3mV、DFは5.6であった。
 周波数特性では300KHZ付近にピークが発生しているが、250KHZま付近まではなだらかに減衰している。 10KHZ矩形波応答も良好である。右CHは300KHZのピークが少し影響している模様である。 中域のクロストークは80dB以上取れているが、残留雑音の影響を排除すれば90dB以上と思われる。
 1W未満の領域で100HZの歪率データが悪化している。ハムバランサーを調整すれば0.05%に低下するが、残留ハム雑音が増加する。 原因は不明である。

《 その他 》
 トランスの重量が大きく、1.2oのシャーシーでは強度が不足したので、中央にアルミアングルを取り付けた。
 中古品の中国製2A3ではハム雑音が多く、ハムバランサーでは調整しきれなかった。 また、内部電極の向きが揃っていないため、4本並べた時のスタイルが気に入らなかった。 



内部配線



背  面

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