5998APPアンプ2号機  平成29年4月12日 


 5998APPアンプ2号機


《 はじめに 》
 平成20年に自作した、5998APPアンプ1号機はすでに分解してしまった。 そこで、5998Aパラシングル3号機を分解し、出力トランスを交換してこのアンプを製作することにした。  下表は5998Aの絶対最大定格であるが、ミューは5.4、内部抵抗350Ω、最大プレート電圧275V、最大プレート損失15Wとなっている。




《 使用部品 》
 ケースは5998Aパラシングル3号機に使用していたリード製MK‐400を再利用したが、横幅は400oも必要なくシャーシー上部、内部とも空きスペースが多い。 しかし、MK‐350では前後が200oとなって少し苦しくなる。
 出力トランスはオークションで入手した山水製SW−15−4、電源トランスは西崎電機特注品(回路図参照)、チョークコイルはノグチ製PMC−228Hを使用した。 SW−15‐4は銘板を取り外し、サンドペーパーで塗料を落とした後、黒色艶消し塗装を施し、銘板を接着材で貼り付けた。
 使用球は松下製6267、東芝製12AU7、GE製5998Aを使用した。5998はST管であるが、この5998AはGT管となっている。

《 回路構成 》
 初段は6267の3極管接続、位相反転段は12AU7によるカソード結合型とした。
 B電源は210Vブリッジ整流と75Vブリッジ整流を2段重ねとした。 これにより出力段B電源を低く、前段B電源を高く、さらに、出力段のバイアス電源も確保できるという一石三鳥の回路構成となった。 前作では電源トランスを2個使用していたが、今回は特注トランス1個でまかなった。
 無信号時、5998Aの実効プレート電圧242V、バイアス電圧約−48V、プレート電流は40mAでプレート損失は約9.7Wに設定した。 最大損失15Wの65%程度である。 下図は5998Aではなく5998のプレート特性であるが、この図に1.125KΩのロドラインを記入してある。 ロードラインと電圧軸の交点は最大出力時のプレート電圧低下を考慮して設定している。




 上図から最大出力を計算した結果が下式である。

   (232−58)×0.153÷2≒13.3(W)

 出力トランスの定損失が0.4dBであることから、効率は95.5%となり、OPT2次側に於ける最大出力は以下の通りである。

   13.3×0.955≒12.7(W)

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZにおける最大出力は入力0.98Vで約12Wが得られたが、上記計算結果を少し下回っている。
 20HZにおける最大出力は中域の50%程度まで低下している。 NFBは10.8dB、残留雑音はLch0.035mV、Rch0.05mV、DFは9であった。 残留雑音は0.05mV以下で非常に優秀である。
 周波数特性は10HZ−0.3dB、110KHZ−3dBとなった。また、285KHZ付近にディップが発生している。 10KHZ矩形波応答では小さなオーバーシュートがみられ、容量負荷時にリンギングが発生しているが問題はないであろう。 クロストーク特性は100KHZで−65dB、中域で−100dB以上(測定限界値)となっている。
 100HZ、1KHZと比較し10KHZの歪率データが悪いが、1Wで0.1%前後、10Wで2%前後である。

《 その他 》
 5998のプレート特性図上に無信号時の動作点(赤丸)を記入すると、バイアス電圧は−44V付近になり、実機と4V程度の差がみられる。 5998Aと5998では少しプレート特性が異なっているのかも知れない。それとも特性のバラツキの範囲内だろうか。
 5998A(GT型)は5998(ST型)と比較してなぜか人気がない。 5998Aの方が価格も安く、もっと使われても不思議ではないが、見栄えの問題であろうか。



ボンネット付き

内部配線



背  面

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