6BQ5(T)PPアンプ  平成29年6月28日 


 6BQ5(T)PPアンプ


《 はじめに 》
 これまで多くのアンプを自作してきたが、6BQ5を使ったものは2台しかなかった。 オークションで落札した6BQ5が6本残っていたので、これを使った6BQ5PPアンプを自作した。 前作はウルトラリニアーPPとしたので今回は3極管接続を試みることにした。

《 使用部品 》
 シャーシーはKMQ−60の残骸を使い、コンパクトロン12Pソケットの位置にサブシャーシーを取り付けてMT9Pソケット(下付き)を皿ネジで取り付けた。 MT9Pソケットが上付きの場合は皿ビスが使用できないので具合が悪い。 鉄製ケースにはかなりの錆が発生していたのでサンドペーパーで処理後、黒色艶消し塗装を施して使用した。
 OPTはハシモトトランス製HW‐15‐8、電源トランスは山水PV−145、チョークコイルはラックス4BC−1.3のケースに0.9H200mAを封入したものを使用した。 PTとCHコイルは塗装が痛んでいたのでサンドペーパー処理後、黒色艶消し塗装を施して使用した。 PV−145は加工無しで取り付け可能であったが、OPT、CHコイルは取り付け穴の加工が必要となる。
 前段使用球はすべて12AU7Aでシルバニア製2本、東芝製2本を使用した。 出力管の6BQ5は同じメーカーで揃えたかったが、シルバニア製4本の内2本が劣化していたので手持ちの球から松下製を使用した。 シルバニア製は黒色プレート、松下製は灰色プレートである。

《 回路構成 》
 初段は12AU7のSRPP、位相反転段は12AU7のカソード結合型、出力段の6BQ5は固定バイアスとした。
B電源は125Vの倍電圧整流で350Vを供給した。 無信号時のプレート電圧349Vで定格を50V近くオーバーしているが、特に問題なく動作している。 プレート電流は25mAになるようにバイアス電圧を調整した。 その時のバイアス電圧は−15.9V〜−16.2Vとなった。
 プレート損失とSG損失を合わせて8.73W程度であるから、プレート損失12W、SG損失2Wである6BQ5としては安全領域と思われる。
 規格表によればプレート電圧300Vの3極管接続PPでは最大出力5.2Wとなっているが、プレート電圧が高いので少し増加する。
 2.5乗特性に基づいて計算すれば以下の通りとなる。

 5.2(W)×(349/300)^2.5 = 7.54(W)

 OPTの効率を93%とすれば

 7.54(W)×0.93 ≒ 7(W)

 が2次側最大出力となる。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZにおける最大出力は入力0.53Vで7.3Wが得られ、上記計算値を少し上回った。
 20HZにおける最大出力は中域の68%が得られ、まずまずの低域特性が得られた。 NFBは9.2dB、残留雑音は左右とも0.2mV、DFは5.4であった。
 周波数特性では300KHZまで素直に減衰しそれ以上では小さなピークやディップが発生しているが、問題ないと思われる。 高域特性は同じハシモトトランスのHW‐25‐5でも同じような傾向を示していた。
 10KHZの歪率データが100HZ、1KHZと比較して悪いが、それでも1Wで0.2%、7Wで1%以下に収まっている。
 クロストーク特性は10HZ〜30KHZまで80dB以上取れているので十分である。 中域のデータが85〜87dBで横一線となっているのは残留雑音の影響を受けて測定不能のためである。

《 その他 》
 VRから初段までの配線に2芯シールド線を使用し、外被を初段カソードに接続した。ラックスアンプはほとんどこの方式である。 これにより、高域にPFBが掛かり、シールド線による高域の減衰が抑えられている。単芯シールド線では高域の減衰が著しい結果となる。



内部配線



背  面

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