6CH6(UL)PPアンプ   平成24年5月15日 


6CH6(UL)PPアンプ


《 はじめに 》
 平成24年4月にイギリスBrimar製6CH6(CV−4055)を20本入手した。 この球はレーダー用映像出力管でプレート損失12W、スクリーングリッド損失2.5W、ヒーターは6.3V0.75Aとなっており6BQ5とほぼ同じ規格であるが全長が少し短い。 規格表はここ。
 このプレート特性図上にロードラインを引いて計算したところ、プレート電圧250V、スクリーン電圧250V、負荷抵抗8KΩ(PP間)の条件で最大出力8.1Wとなった。
 そこでUL接続、AB2級PPで設計することにした。

《 使用部品 》
 OPTはノグチP製PMF−18P−8K、パワートランスはSEL製SD−100A、CHコイルはノグチ製PMC228H、ケースはリード製S−4を使用した。

《 回路構成 》
 6CH6は非常に高感度球であることから、12AX7のカソード結合型位相反転回路のみでドライブ可能である。 出力段の6CH6はUL接続とし、6AQ8による直結カソードフォロアードライブ方式とした。
 電源トランス(SD−100A)B電源容量は100mAであるがアイドリング時の所要電流は120mA弱となるため少し不足である。そこで電圧調整を兼ねてCHインプット方式を採用した。 このトランスのB電源コイルには380Vと300Vのタップがあるが、380Vタップではプレート電圧が高すぎるので300Vタップを使用した。これにより260V150mAが供給可能となった。

《 最大出力、測定結果 》
 入力0.9Vで8.4Wの最大出力が得られた。UL接続による出力低下を20%と見積もれば、通常のドライブ方式におけるOPT1次側最大出力は6.5W程度に低下する。さらにOPTの効率を85%とすればOPT2次側最大出力は5.5Wまで低下する。 したがって、このアンプにおける直結カソードフォロアーによる出力増加は約50%強である。UL接続においても直結カソードフォロアードライブの効果は著しい。
 オーバーオール負帰還は8.8dB、DF値は3.1、残留雑音はLch0.25mV、Rch0.1mVであった。Lchの残留雑音が多い原因はCHインプットによる電源トランスからの漏洩磁束の影響と思われる。PTとLchOPTの間に鉄板を挿入すれば0.1mV近くまで低下するが、0.25mVでも特に問題はない。
 NFBを控え目にしているため歪率が良好とはいえないが、直結カソードフォロアーの効果で歪率1%を超えても波形の先端が丸みを帯びてくる傾向が見られるのみで、はっきりとしたクリップ波形にはなかなか至らない。
 周波数特性上で70KHZと110KHZ付近に小さなピークが発生している。先日製作した10EW7PPアンプでも同じような傾向であるから、OPTの素性と思われる。  20HZにおける最大出力は中域の50%程度まで低下しているが30HZでは90%が得られている。小型OPTであっても、流石にPPである。

《 その他 》
 電源トランスからの漏洩磁束の影響を減少させるため、防磁銅帯を巻いても防止効果はほとんど得られなかったが、ケイ素鋼板による磁気シールドは非常に効果的であることが分かった。 



内部配線



背  面

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