6DQ5PPアンプ   平成24年2月18日 


6DQ5PPアンプ(自作シールドケース取り付け)


《 はじめに 》
 平成23年10月に名古屋のH田氏から頂いた7本の6DQ5(東芝製)を使ってPPアンプを製作した。 6DQ5は初期の大型水平出力管でプレート損失24W、スクリーングリッド損失3.2Wである。 スクリーングリッド最大電圧が190Vであり、内部抵抗も少し高いようである。また、ピン接続もその他の水平出力管とは異なっている。

《 使用部品 》
 OPTはタンゴXE60−5、パワートランスはタンゴMX−280、CHコイルはタンゴCH−3−350、ケースはSL−20(旧スズラン堂)の天板を交換して使用した。
 出力管はもちろん6DQ5(東芝製)であるが、H田氏から頂いた中に12GB7が1本だけあったので、SG電圧調整用として使用した。

《 回路構成 》
 このアンプはすべてGT管を使用して製作した。初段はゴールデンドラゴン製6SN7によるSRPP、カソード結合型位相反転回路にも同じく6SN7を使用した。 出力段は6DQ5をビーム管接続とし、スクリーングリッドは12GB7(3結)とZDで安定化して供給した。 12GB7の規格ではヒーターカソード間耐圧が225Vであることから、ヒーターを他の球と共用にし、6.6V+5Vで点火した。
 電源トランス(MX−280)のダイオード整流時における電源容量は260mAである。 アイドリング時の所要電流は約200mAであるから、コンデンサーインプット方式でも使えなくはないが、発熱を考慮して、今回はCHインプットを採用した。 しかし、320VのCHインプット時の出力電圧は285V程度しか得られない。 そこで手元にあった小型トランスの24V1Aをブリッジ整流してかさ上げすることにした。 これにより300V400mAが供給可能となった。
 CHインプットにした効果は著しく、最大出力時におけるB電圧は317Vから300V(5.4%)へ、SG電圧は118Vから110V(6.8%)への低下に収まっている。いずれも片CH最大出力時。
 OPTは2次側16Ω端子に8Ωを接続し、1次側2.5KΩ(PP間)として使用した。
 「水平出力管の活用法」で計算した最大出力は53W前後、OPT損失を考慮しても48W前後は得られることになる。

《 最大出力、測定結果 》
 入力1.34Vで41Wの最大出力が得られた。上記計算を少し下回ってしまったが、その原因はカソード帰還回路のインピーダンスの影響で合成ロードラインが寝ている(負荷抵抗が大きくなっている)影響ではないだろうか。 もしそうであればSG電圧を90V程度とした方が良いと思われる。
 オーバーオール負帰還は11dB、DF値は4.8、残留雑音はLch0.23mV、Rch0.22mVであった。
 周波数特性上に目立ったピークやディップは発生していない。600KHZ以上における盛り上がりはOPT1次2次間分布容量の影響と思われる。  20HZおける最大出力はビーム管接続であるにもかかわらず38Wに達している。さすが大型OPTによるPPである。 

《 その他 》
 このアンプではCHインプット整流とB電圧かさ上げを行っているが、コンデンサーインプット方式も可能と思われる。 その場合、SG電圧、バイアス電圧の変更が必要であるが、最大出力は約2倍に増加する。 しかし、家庭で使用する場合に限れば、それほどの出力を必要としないので、現状で十分である。
 また、初段の6SN7は裸の状態であるが、シールドケースを取り付けると残留雑音が1/3に低下した。しかし、GT管用シールドケースは市場から姿を消し、ST管用を流用するか、自作するかである。 なお、残留雑音はシールド取り付けた状態での値である。



内部配線



背  面

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