6GA4PPアンプ   平成28年2月10日 


6GA4PPアンプ

《 はじめに 》

 ラックスKMQ−60のシャーシーが余っていたので、山水のトランスを使った6GA4PPアンプを製作した。
 回路は複合管の6U8を使ったアルテック型で組むことにした。

《 使用部品 》

 電源トランスは山水PV‐145、出力トランスも山水SW−15−8、チョークコイルはKMQ−60に使用されていた4605タイプを使用した。
 出力管の6GA4は東芝製で45年近く前に購入したもので、少し劣化しているが問題なく使用出来た。初段の6U8AはPhilips製を使用した。
 ケースはKMQ−60を分解したものを一部加工して使用した。加工した部分は以下の通り。
  1. SW−15−8はOY−15−5と比べて左右の幅が広いため、センターの丸穴と取付ビス用の穴を加工した。
  2. MT9P取付用の穴が2ヶ所余ったので、アルミ板を加工して取り付けた。
  3. 電源コードが直出しであった所にACインレットを取り付けた。
  4. 出力端子が貧弱であったのでバナナプラグが使用出来るタイプに交換した。
 PV‐145はオークションで落札したものであるが、既に再塗装がなされていた。 SW−15−8はサンドペーパーで塗料を落とし、黒色艶消し塗装を施した。 ブロック電解コンデンサーは160V47μF×2のみ再利用し、高圧側は交換した。

《 回路構成 》

 初段は6U8Aの5極管部で利得を上げ、3極管部をPK分割型位相反転回路とした。 6U8Aは6BL8と同じピン接続である。どちらも5極管のコントロールグリッドと3極管部のプレートが隣り合わせのため飛びつき発振を起こし易いので、6AN8のピン配列の方が使い易いと思われる。 ダイナコMarkVでは6AN8が使われている。

《 最大出力、測定結果 》

 入力約0.9Vで10Wの最大出力が得られた。 無信号時のプレート電圧338V、プレート電流33mAで、プレート損失11.3Wである。
 20HZにおける最大出力は中域の90%近くが得られ、SW15−8の低域特性はなかなか優秀である。 右CHで180KHZ付近に小さなピークが発生している原因はOPT特性のバラツキと思われる。 以前同じOPTを使った6GB3APPアンプでも同じ傾向を示している。
 NFB12dBで、DF値は8.7、残留雑音は左右とも0.3mVであった。 クロストークは10HZ〜20KHZで75dB以上とれているので全く問題ない。 それ以下は残留雑音の影響を受けて測定できない。
 容量負荷時の10KHZ矩形波応答はまずまずの特性である。 歪率特性は100HZと1KHZでは10Wでほぼ1%であるが、10KHZは少し悪い。 最大出力も10KHZでは8Wに低下している。
 6GA4はペアーチューブではないので、PK分割位相反転段のカソード抵抗を調整してACバランスをとっている。 また、左右の利得を合わせるためNFB抵抗を左右で変え、初段へのデカップリング抵抗も微調整している。 その結果、1W時のひずみ率を半減させることができた

《 その他 》

 最大出力が10W程度でちょうど使いやすいアンプに仕上った。しばらく常用アンプとして使えそうである。



内部配線



背  面

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