トーンコントロール付きラインアンプNo.2 改造     令和2年5月31日


トーンコントロール付きラインアンプNo.2


《 はじめに 》

 このTC付きラインアンプは、平成25年に自作したものであるが、利得が少し大きく使い勝手が悪いと感じていた。 そこで初段にPG帰還をかけて利得を下げることにした。その他の部分は変更なしである。

《 回路構成 》

 初段には5814Aの片ユニットを、NF型トーンコントロール段には5755のSRPPを使用した2段構成である。 今回の改造で初段出力インピーダンスを低下させるためにカソードパスコンを追加し、PG帰還回路を挿入した。 帰還量はVR最大位置で10.5dB、2時方向では12dB程度となる。 この回路の欠点は出力インピーダンスが低下する一方で入力インピーダンスも低下することである。
 B電源は230Vのセンタータップ式両波整流、平滑回路には10H60mACHコイルを使用した。ヒーターは6.3V0.8Aと6.3V2Aを直列にしブリッジ整流してDC点火とした。 5814A、5755のヒーターはそれぞれ12.6V175mA(6.3V350mA)、12.6V180mA(6.3V360mA)であり、ヒーター所要電流はDC535mAとなる。 一方、12.6V0.8Aをブリッジ整流した時の出力電流許容値は約510mAで少しオーバーの状態であるが、過熱等の問題は発生していない。
 6.3V2Aをブリッジ整流したとき、許容出力電流は1.2A強となる。 DC6.3Vで点灯した場合の必要電流は1.07Aとなるので約90%負荷に収めることが出来る。
 5755のヒーターカソード間耐圧は75Vであるため、SRPP段で注意が必要である。 上段カソード抵抗を下段よりも大きくし、上段カソードの対アース電圧を低くする。その上でヒータバイアスを掛け、上段下段共規格内に収まるようにしなければならない。 ヒーターバイアスを60Vに設定することにより、上段HK間電圧は約64V、下段HK間電圧は59Vになっている。

《 測定結果 》

 トーンコントロールは俗にラックス方式と呼ばれているNF型である。 特性は最大、最少およびフラット位置で測定した。PG帰還の効果で初段の出力インピーダンスが低下した結果、非常に素直な特性が得られた。
 出力端子における残留雑音は0.05mV前後で、少し増加したが、全く問題ないレベルである。 最大出力電圧は22V程度、出力電圧1V時の歪率は0.12%程度で改造前より少し低下した。
 クロストーク特性は高域で少し悪化しているが概ね良好である。L→Rと比較してR→Lが悪化している。

《 その他 》

 利得を下げた結果、常用時のVR位置は10時〜11時方向となり、使い勝手が良くなった。




背  面



上下の通気口


内 側 上 部


内 部 配 線










inserted by FC2 system