3CHデバイダー内蔵TC付きラインアンプ4号機   令和3年5月7日 


12dB/oct3CHデバイダー内蔵TC付きラインアンプ4号機


《 はじめに 》

 平成24年に自作した3CHデバイダー内蔵TC付きラインアンプ3号機は 入力セレクターを組み込んでいなかったので使い勝手が少し悪かった。 しかし、改造するにもフロントパネル、リアーパネル共作り変える必要があった。 そこで3号機を予備に回し、新たにほぼ同じ回路構成で4号機を自作することにした。

《 使用部品 》

 ケースはタカチ製WS−133−32−23S、電源トランスはタンゴ製ST−30Sを使用する。 真空管は12AU7 6本、12AX7 2本、6X4 1本使用する。

《 回路構成 》

 初段とTC段はトーンコントロール付きラインアンプ7号機とほぼ同じ、 デバイダー部は3CHデバイダー内蔵ラインアンプ3号機とほぼ同じである。 低音と中音のクロス周波数は159HZ、中音と高音は1590HZの固定とする。 入力はDAC、CD、AUXの3系統とする。
 B電源の平滑回路には余分な雑音元となるCHコイルは使用せず、CR多段フィルターとする。 ヒーターは15Vをブリッジ整流し、2.2Ω10W2本で12.3Vに調整して供給する。
 トーンコントロールは俗にラックス方式と呼ばれているNF型である。 デバイダー部は−6dBクロス、−12dB/OCTの特性である。 中音は2段のフィルターを通過するため、減衰量が多い。

《 測定結果 》

 トーンコントロール特性はデバイダーの前から信号を取り出し、最大位置と最少位置で測定したが、 前段の出力インピーダンスが低いことが影響してか、非常に素直な特性を示している。 初段をプレートフォロアーとした場合はこうはならない。
 歪率は出力1Vで0.1%未満となり、まずまずの結果が得られた。100HZはフィルターを通過するため低値になっている。 0.5V未満と12V以上は発振器、歪率計の兼ね合いで測定範囲外である。
 入出力特性の測定は40HZ、500HZ、10KHZ(各CHの出力最大位置)で実施した。 40HZでは最大出力30V以上が得られたが500HZでは13V、10KHZでは11V程度に低下していた。 増幅率は500HZで2.2倍、40HZと10KHZでは2.85倍となった。
 クロストークはおおむね75dB以上取れている模様。 各出力における残留雑音は高音0.09mV、中音0.05mV、低音0.03mV前後であった。

《 その他 》

 ケースが少し小さすぎたのでデバイダー部の配線がかなり込み合ってしまった。 ラグ板を増設すれば解消できるのであるが、取り付けるスペースがない。 また、整流管の熱でブロック電解コンデンサーの温度上昇が激しく、電解コンデンサーの寿命が縮む可能性があるので、 間に熱遮蔽板を取り付けた。 その結果、温度上昇を10度以上抑えることが出来た。
 当初はデバイダー部の真空管は12AT7を使う予定であったが、アースラインの設計が悪いためか120HZで発振を起こしていた。 そこでデバイダー回路に使用していた12AT7をすべて12AU7に交換したところ止まった。
 このケースはパネルのアース取りが必要である。何もしないで組み上げた場合、変な雑音に悩ませられることになるので注意が必要である。 今回はアース線を使って確実に接続した。



背  面


内 側 上 部


内 部 配 線



inserted by FC2 system