トーンコントロール付きラインアンプNo.8
令和4年4月23日
トーンコントロール付きラインアンプNo.8
《 はじめに 》
このラインアンプは岡山のH氏からの依頼で製作する。
主回路はトーンコントロール付きラインアンプNo.7とほぼ同じである。
《 使用部品 》
電源トランスはタンゴ製ST−30Sを使用する。チョークコイルは雑音源となるので使用しない。
真空管は5814A 2本、12AX7 2本、整流管は手持ちの関係でマツダ製6X5GTを使用する。
ケースはアルマイト処理したアルミ板とL型アルミアングルで製作し、左右に水性ニスを塗った木板を取り付ける。
VRは音量調整用にアルプス製27型100KΩ(A)、トーンコントロール回路用には東京コスモスのRV24型2連VR250KΩ(B)を使用する。
《 回路構成 》
初段は5814AのSRPPにはPG帰還をかけ、ラックス型NF型トーンコントロールを挟んで12AX7SRPPで出力する。
LCHの帰還回路に可変抵抗器を挿入し、左右の利得バランスを調整できる回路とする。
これにより球のバラツキを打ち消すことができる。
入力3系統、出力1系統の構成とする。
B電源は260V×2を6X5GTで両波整流後、3段のπ型フィルターで平滑して供給する。
6X5GT保護のためカソードと平滑コンデンサーの間に200Ω2Wを挿入している。
6X5GTの許容プレート電源インピーダンスZsは525Ω(260Vでは400Ω)と規定されているが、
ST−30SのB巻き線電源インピーダンスRsは約300Ωであり、規定値を下回っているためである。
Rs=2次巻き線抵抗値+(260/100)^2×1次巻き線抵抗値
ヒーター電源は15Vをブリッジ整流後、12.6Vに調整して供給する。
《 測定結果 》
TC特性は最大、最少およびフラット位置で測定したが、非常に素直な特性が得られた。ゲインはおよそ5.2倍である。
出力端子における残留雑音は0.1mV程度で良好、VR最大でもほとんど変化はなかった。
1KHZにおけるノンクリップ最大出力電圧は30Vであった。
出力電圧1Vにおける歪率は0.08%以下で良好、出力電圧0.5V未満、40V超は発振器出力と歪率計感度の兼ね合いで測定不能。
高域でクロストークが悪化しているが、まずまずの結果が得られた。
2連VRを3個使用しているため、これ以上の結果は望めないと思われる。
《 その他 》
ラックス型トーンコントロールはPG帰還回路となっているので、初段の出力インピーダンス加算されるとNFBが増加し、トーンコントロール特性に影響を及ぼす。
そのため、できる限り前段の出力インピーダンスを低くした方が上昇下降カーブが素直となる。
整流管と低音用2連VRが近かったため雑音の混入が見られたので、その間にシールド版を取り付けた。
これにより残留雑音を約1/4に低下させることが出来た。
背 面
内 部 配 線
シャーシー上部
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