マランツ型フォノイコライザー付プリアンプ   令和2年4月11日  

マランツ型フォノイコライザー付プリアンプ


《 はじめに 》

 このプリアンプは愛知県のS氏からの依頼で製作した。マランツ型フォノイコライザーはS氏からのたっての希望である。

《 使用部品 》



 ケースがかなり大きいが低雑音プリアンプに仕上げるためには小さくできない。

《 回路構成 》

 入力はPhono3回路、CD、AUXの5系統、出力は2系統とし、バランス、VR、 ローカットフィルターを経由し、ラックス型トーンコントロールへつながる。 出力は2系統とし、Normal、Reverse の切替機能も組み込む。
 イコライザー回路はいわゆるマランツ型と呼ばれている3段構成のNF型である。 忠実に再現するため、電源回路以外の回路定数はデッドコピーとする。
 トーンコントロールはラックス型と呼ばれるNFタイプで、VRは左右別とする。 増減量は少な目(プラスマイナス8dB程度)であるが、フラット位置でうねりが発生しない優れた回路である。
 B電源は250Vを6X4で両波整流し、345Vを供給する。 ヒーターは15Vをブリッジ整流し、12.4Vに調整して供給する。

《 測定結果 》

 イコライザーのRIAA偏差は60HZ以下で少し大きいが、概ね0.3dB以内に収まった。 低域で偏差が大きい原因はラインアンプ部の利得低下、あるいは低周波発振器の特性が影響している模様で、 実際はもっと偏差が少ないと思われる。
 RIAA特性以外の測定データはラインアンプ部のみの特性である。 歪率は100HZ、1KHZ、10KHZもほとんど同じで0.65Vまで0.1%未満であった。 0.5V未満は歪率計の測定限界のため測定していない。 ラインアンプ部の利得は7倍、VR最大時のフォノ入力から出力までの1KHZにおける利得は約890倍となった。 ただし、MC型ではステップアップトランスの使用が前提である。 
 ラインアンプ部の特性は10HZ−1.5dB、100KHZ−0.5dBで非常に広帯域に仕上がった。 クロストークは高域で悪化しているが、2連VRを使用した場合の限界と思われる。
 CD、AUXにおける残留雑音は0.06mV未満であった。 フォノ入力フルボリウムではさすがにフリッカー雑音が増加するが、ハム雑音はほとんど増加しなかった。 フリッカー雑音も通常の使用状態では問題ないレベルであった。

《 その他 》

 タカチ製のケースはフロントパネル、リアーパネルともアース線をしっかり接続しなければ、 変な雑音に悩まされることがあるので注意しなければならない。 アルミ表面の処理膜は非電導体であるため、菊座金などを適切に使用しなければならない。 通風孔は上面のみであるが、発熱が少ないため、温度上昇はほとんどなかった。
 イコライザーアンプに使用する球は低雑音のものを選別する必要があるが、 今回は3本すべてにシーメンス製から選別して使用した。



後    面


内 側 上 部


内 部 配 線



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