直結カソードフォロアー10EW7シングルアンプ   平成25年11月13日 


直結カソードフォロアー10EW7シングルアンプ


《 はじめに 》
 平成23年10月に名古屋のH田氏から頂いた真空管の中に10EW7が8本あった。 その内の4本でPPアンプを製作したが、その時、1本の不良球が見つかり、残りは3本となった。 そこで10EW7シングルアンプを製作することにした。

《 使用部品 》
 OPTはノグチPMF−10WS、電源トランスはINSTANT製P−120、CHコイルは同じくINSTANT製5H150mAを使用した。 シャーシーは6V6、6GA4ロフチンホワイトアンプに使用していたものを流用した。 初段球は50年ほど前のカラーTVに使用されていた6BX6の中から選別して使用した。 カソードフォロアー段と出力段には複3極管である10EW7を使用した。第2ユニットのプレート損失10W、内部抵抗は800Ωである。

《 回路構成 》
 初段は6BX6を5極管接続で利得を稼いでいる。10EW7の第1ユニットを直結カソードフォロアーとし、カソード抵抗として定電流ダイオード(E−152)を使用した。
 出力段は固定バイアスとし、出力管プレートから初段カソードへの負帰還を採用した多重ループ帰還方式とした。 これにより、出力管内部抵抗が低下し、少ないNFBでもDF値をある程度大きくすることができる。
 電源部はCHインプット方式を採用したが、コンデンサー入力方式でも電流容量に不足はなく、電圧調整が主目的である。 これにより無信号時の出力段プレート電圧は245Vとなった。無信号時のプレート損失は約9Wである。 また、初段の供給電圧を出来るだけ高くするためにデカップリング抵抗は小さくした。

《 最大出力、測定結果 》
 10EW7(第2ユニット)のプレート特性図に3.5KΩのロードラインを引いて、最大出力を試算した。 プレート電圧240V、プレート電流38mAを動作基点とすれば、その時のバイアス電圧は35V程度になるはずであるが、実際は32.6Vとなった。

     A1級動作時の最大出力=(350−57)×(0.09−0.006)÷8
                    = 3.077(W) 

     A2級動作時の最大出力=(362−35)×(0.096−0.002)÷8
                    = 3.84(W) 

   A2級動作時はEc=−73V〜Ec=+3Vまでスイングしたものとして計算した。図中の240Vは最大出力時のプレート電圧である。



 最大出力は入力電圧0.64Vで3.45W(1KHZクリップ開始)が得られた。 OPTの効率を90%とすれば、ほぼA2級動作時の最大出力と一致している。

         3.84(W)×0.9=3.456(W)

 NFB量が少ないので、高域補償回路はOPT2次側の0.22μ−30Ωの直列回路(ゾベル)のみであるが、容量負荷時の矩形波変化は比較的少ない。 しかし、10KHZの波形はあまり綺麗とは言えない。 52KHZでマイナス3dBとなり、それ以上には小さなピークやディップが見られるが、まずまずの特性である。
初段と出力管で歪の打消し動作を行っているにも関わらず、歪率はあまり良くないが、10EW7の直線性が悪いためではないだろうか。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の70%強が得られているので、シングルアンプとしてはまずまずの低域特性である。
 NFBは内外ループ合わせて9.6dB、DFは4.5(ON/OFF法)、残留雑音はLch0.2mV、Rch0.3mVであった。



内部配線

背  面





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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