直結カソードCHドライブ12AV5GA(3結)シングルアンプ   令和2年10月22日 


直結カソードCHドライブ12AV5GA(3結)シングルアンプ


《 はじめに 》

 12AV5GAの3極管接続は傍熱型6B4Gと特性、電極寸法、外観、構造が酷似している。6B4Gは2A3の6.3Vバージョンである。 そこで12AV5GA(3結)を6B4G(2A3)とみなしてシングルアンプを製作する。 下表はシルバニアの6AV5GAの規格、動作例であるが、3結時のプレート損失は記載されていない。
 A級増幅の表を見るとプレート電圧250V、プレート電流57mAとある。この値で計算すればプレート損失14.25Wとなり、ここまでは大丈夫と思われる。 しかし、SG電圧150Vを超える動作例はない。とりあえず製作し様子を見ることとする。


《 使用部品 》

 電源トランスはLUX製4A46B、OPTはタンゴ製U−808、CHコイルはノグチトランス製PMC−1030H、カソードチョークはゼネラルトランス製PMC−80Hを使用する。 使用球はシルバニア製12AV5GA、フィリップス製6U8、NEC松下製12GK17の5本である。
ケースは奥澤製O−10(350×200×40)にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドに水性ニスを塗った木板を取り付ける。

《 回路構成 》

 半導体とダンパー管(12GK17)によるハイブリッド整流とする。 130Vを半導体による倍電圧整流とした場合、電圧が高すぎる可能性があるからである。 しかし、実機では235V程度となり、半導体整流でも構わなかった。
 12AV5GAと12GK17のヒーターは6.3V2.3Aを直列にした12.6Vで3本並列点火とする。 12GK17のヒーターカソード間耐電圧は900Vであるから問題は無い。 初段は6U8Aの5極管部で利得を上げ、3極管部で直結CHドライブとする。
 12AV5GAにペアー球はなく、バラツキが大きい。 そこで、カソードCHドライブ段を半固定バイアスとし、12AV5GAのプレート電流を調整出来るようにする。
 カソード抵抗は470Ω10Wと330Ω5Wの直列で800Ωとなるはずであるが、実測値788Ω程度であった。 カソード電圧を46.5Vに合わせればプレート電流は約59mAとなる計算である。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力0.77V時にノンクリップ最大出力4.7Wが得られた。 プレート電圧235V程度でこれだけの出力ということは、プレート電圧250Vでは約5.5Wと推定される。

   4.7×(250/235)^2.5 ≒ 5.49 W

 周波数特性では300KHZ付近に大きなディップが発生しているが概ね良好であった。 高域遮断(−3dB)周波数は80KHZ付近となった。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答もまずまずの結果が得られた。
 さすがに低歪とは言えない結果であったが、1KHZ、10KHZとも同じようなカーブを描いている。
 NFBは5.5dB、残留雑音はLCH 0.45mV、RCH 0.25mV、DFは4であった。
 無信号時の出力管のプレート損失は13.9Wで、推定最大プレート損失内に収まっている。 暗闇で観察してもプレートの赤熱等は発生していない。

《 その他 》

 12AV5(6AV5)GAは非常に廉価(2A3の1/8)で入手でき、最大出力、その他の測定データ類も遜色ない結果が得られた。 これらの水平出力管3極管接続アンプはもっと見直されるべきである。



背  面


内部配線







LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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