直結カソードフォロアー17KV6A(3結)シングルアンプ 平成23年4月13日


直結カソードフォロアー17KV6A(3結)シングルアンプ


《 はじめに 》
 OTLアンプ製作時に大量に購入した17KV6Aの残り数本があったので、それを使用してこのシングルアンプを製作した。  しかしながらこれらの球はOTLアンプ製作時にペアーマッチングから外れた球であるから、特性の不揃いはある程度覚悟しなければならない。 また、17KV6Aのプレート特性図は見つからないので、3結時の正確な特性は不明である。

《 使用部品 》
 17KV6A(3結)シングルではプレート電流が90mA前後になることが予想されるが、使用したOPT(PMF−15WS)の1次許容電流110mAに対して80〜90%である。 そのため、1次インダクタンスは少し低下すると思われる。

 電源トランスは、以前に50CA10シングルアンプ用として特注したものを再使用した。また、17KV6Aのヒーター電源とマイナス電源を確保するため、ノグチPM−632W(0−5−6.3V2回路)をシャーシー内に取り付けた。
 CHコイルにはノグチPMC−228を使用したが、インダクタンスが2Hのため平滑用電解コンデンサーを増量してリップル低減を図っている。 低内部抵抗管でプレートからNFBを掛けた場合は出力に現れるリップル電圧が増加するので注意が必要である。
 ケースはリード製S−3にシルバーメタリック塗装を施し、木製側板とゴム足を取り付けた。また、今回は底蓋を省略した。

《 回路構成 》
 今回も直結カソードフォロアードライブとした。前作の5998Aパラシングルのカソードチョークでは、容量負荷時における10KHZ矩形波応答に影響が大きいと思われるので、定電流ダイオードE−202(2mA)を使用した。 なお、CRD(耐電圧100V)直列に15KΩを挿入してCRDの両端電圧を30Vまで下げて安全を図っている。
 直結カソードフォロアードライブでのマイナス電源は6.3V巻き線を3回路直列として、18.9Vの3倍圧整流で−73Vとし、RD−56で安定化して供給した。 しかし、これらの巻き線は17KV6Aのヒーターと共用であるため、ヒーター回路には常時−73Vが掛かっていることになる。HK間電圧は自己バイアス電圧40Vと合わせて113V程度となっている。
 17KV6AのHK間耐圧は不明であるが、6KV6AのHK間耐圧は +200V/−500V(Peak値)、100V(av)である。 アベレージでは少し超えているが、17KV6Aはトランスレス用の球であり、ピーク値では定格内であることから問題ないと判断した。
 今回も、初段6U8(5極部)スクリーングリッド電圧調整してを歪率最良点にセットしたため、SG電圧はかなり低い。しかも、左右CHで異なっている。 所謂、出力段と前段との歪打ち消し動作を行わせている。この時、ブリーダー抵抗値はかなり微細に調整しなければならない。数KΩの違いで歪率は大きく異なってくる。
 しかも、小出力時と大出力時で最適値がかなり異なっていた。今回は出力4W時の歪が最も低くなる値とした。
 OPTは3.5KΩ/16Ωで2次側を8Ωとして1次1.75KΩ負荷とした。2.5KΩ負荷では最大出力が低下する。
 なお、出力トランス1次側初段カソードへ内側ループ帰還を掛けているが、直流阻止用のコンデンサーを省いて初段のカソードに直接接続し、バイアス用抵抗を600Ωとした。

《 最大出力、測定結果 》
 最大出力はRLch共6.1Wが得られた。無信号時のプレート損失は約20W、最大損失28Wに対して71%程度である。
 NFBは内側ループが7.2dB、外側ループ(OPT2次側から)が5.8dBである。残留雑音はRch0.28mV、Lch0.23mV、ダンピングファクターは6.4であった。
 10KHZ矩形波応答は多重ループ帰還とした効果か、かなり素直な特性である。容量並列時には少しオーバーシュート、リンギングが発生しているが問題はないであろう。 OPT2次側からのNFBを少し増加させれば、歪率、残留雑音は低下し、DF値も大きくなるが、入力感度が悪くなり矩形波応答も悪化する。

《 その他 》
 17KV6A(3結)シングルは、SG電圧の最大定格が220Vであるため、3極管接続ではあまりプレート電圧を上げることが出来ない。実機ではSG電圧は225Vで約5Vの超過である。 そのため最大出力は少し控え目であるが、5極管接続とすれば最大出力は10W程度まで増加する。 また、プレート損失にはもう少し余裕があるので、SG電圧を安定化してEp>Esgとすれば最大出力はさらに増加すると思われる。その場合はOPTをもう少し大型(1次許容電流を大)にした方が安心である。
 現在17KV6Aは少し品薄状態となり、入手が難しくなりつつあるが、フロービス(徳島)には在庫がある模様である。



背  面


内部配線





RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)






inserted by FC2 system