無帰還245シングルアンプ            令和4年5月1日 


無帰還245シングルアンプ


《 はじめに 》
 このアンプは秋田県のS氏から依頼されて制作する。245(45)のシングル動作例は下表のとおりで最大出力2Wとなっている。
 245はピンテージ管であることを考慮し、プレート電圧250V未満となるように設定する。



《 使用部品 》
 出力トランス、電源トランス、CHコイルはすべてタンゴ製U−808、MS−160、TC−10−130Wを使用する。  出力管はRCA製245、初段はSylvania 製6SL7、整流管はRaytheon製280を使用する。  245と280はナス型管である。  ケースは奥澤O−8を使用する。  真空管とトランス類はすべて支給品である。

《 回路構成 》
 初段6SL7はSRPPとし、出力管245はカソード抵抗1.5KΩによる自己バイアスとする。  今回は無帰還とすることから負荷抵抗は5KΩとする。  最大出力が少し低下するが、歪は少なくなるはずである。
 245はAC点火であるが6SL7はDC点火とする。  無帰還アンプを低雑音アンプに仕上げるためには妥協できないところである。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.63V時に最大出力1.35Wが得られた。 20HZにおける最大出力は中域の63%程度まで低下しているが、無帰還シングルアンプとしては良好な低域特性が得られた。
 周波数特性は10HZで−3.5dB、60KHZで−3dBであった。  これも無帰還アンプとしては優秀である。
 ひずみは多めであるが、直熱管の特有の先端が丸くなるクリップ波形を示している。  右CHの歪率が悪い原因は球の劣化と思われるが、交換することが出来ない。  プレート電流も10%ほど少なくなっているが、将来、球を交換することも考慮してプレート電流の調整は行っていない。
 残留雑音はLCH1.1mV、RCH1mVで少し多い。  雑音の主成分は比較的整ったサイン波形であり、周波数は電源周波数の2倍となっている。  いわゆる整流回路由来のリップルとは別物である。  原因はヒーター加熱が毎秒電源周波数の2倍周期で繰り返されるためで、ヒーターをDC点火しなければ避けられない。  直熱管のAC点火では避けられない問題である。
 クロストーク特性は残留雑音の影響を受けて−60dB以下は測定できない。  中域では−70dB以上は取れているのではないだろうか。
 DFは左CH1.6、右CH1.7(ON/OFF法)であった。

《 その他 》
 部品配置はS氏のご希望でSW、端子類はすべてシャーシー上面に配置し、前後左右の面には何もつけていない。  木製木枠を自作して取り付ける予定とのことである。



内部配線


背  面






LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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