直結カソードCHドライブ2A3シングルアンプ3号機
平成28年9月13日
直結カソードCHドライブ2A3シングルアンプ3号機
《 はじめに 》
最近は直熱管シングルアンプに嵌っていて、2A3シングルアンプ2台、300Bシングルアンプ2台を自作してきた。
今回は直結カソードチョークドライブ2A3シングルアンプ3号機である。
《 使用部品 》
OPTとCHコイルにはオークションで入手したタンゴ製H−5Sと山水製5H150mAを使用する。
電源トランスとカソードCHにはノグチトランス製PMC−150MとPMC−80H(80H8mA)を使用する。
出力管には東芝(マツダ)製2A3、初段とカソードフォロアー段には東芝製6AN8Aを使用する。
ケースもオークションで入手したリード製MK−350のボンネット、底板に奥澤O−10を組み合わせて使用する。
《 回路構成 》
6AN8Aの5極部で利得を稼ぎ、6AN8A3極部はカソードチョークを使った直結回路とする。
2A3は6.3Vをブリッジ整流しDC−DCコンバーターを経て2.45Vを供給する。
ハムバランサーは使用せずヒーターマイナス端子をカソード引き出しとする。
OPTは16Ω端子に8Ωを接続して1次2.5KΩで使用した場合、波形の下部からクリップを開始し、5KΩ負荷の場合は波形上部からクリップ開始する。
2.5KΩでは2A3がカットオフし、5KΩではグリッド電流の影響を受けている。カソードチョーク直結ドライブでは負荷抵抗3.5KΩ辺りが適している模様である。
《 最大出力、測定結果 》
1KHZでは入力0.85V時に最大出力4.4Wが得られた。
ひずみ率も100HZ以外はおおむね良好である。
初段のSG電圧を調整すれば100HZ1W時の歪率を0.3%未満まで低下させることができるが、その時は1KHZ、10KHZの歪率が1%以上に増加する。
初段のSG電圧45V時の歪率グラフ(100HZ優先)
初段のSG電圧125V時の歪率グラフ(100HZ、1KHZ両方重視)
初段のSG電圧80〜95V時の歪率グラフ(1KHZ、10KHZ優先)
歪率悪化の原因は雑音でないことは明らかであるが、偶数次の歪が変化している模様である。
カソードチョーク、6AN8A、2A3などの相性かもしれないが、原因は良く分からない。
最終的には初段SG電圧を80〜95V程度に設定し、1KHZ、10KHZの歪率が良好な状態にした。
周波数特性では高域に小さなピークが見られるが(特に右CH)10KHZ矩形波応答にもその影響が表れている。
残留雑音は0.8〜0.9mVと多いが、SPに耳をつけても無音状態である。
NFBは9dB、DFは7.8(ON/OFF法)であった。
クロストーク特性では20HZでも70dB近く取れているのでシングルアンプとしては優秀である。
また、中域で75dB前後で一定値を示しているのは残留雑音の影響を受けているためである。
《 その他 》
残留雑音が少し多い原因はDC−DCコンバータの残留スイッチング雑音(周波数は100KH付近)と思われる。
底ぶた(鉄製)を外せば0.5mV未満まで下がるという不思議な現象が起きているが、底ぶたによりDC−DCコンバーターのチョークコイルが影響を受けているのではないだろうか。
B電源は290Vタップを使用しても2A3プレート電圧が20V程度高くなるので、−B端子とアース間150Ω20W抵抗を挿入して調整した。
整流管を使用すれば不要かもしれないが、PMC‐150Mではヒーター巻き線が不足している。
20HZにおけるノンクリップ最大出力が中域の約20%程度しか得られていない原因はOPTの限界と思われる。
最大出力5W程度であってもシングルアンプの場合はコアーサイズが大きくなければ低域最大出力の改善は望めないことを痛感した。
ボンネット付き
内部配線
背 面
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