直結カソードCHドライブ2A3シングルアンプ5号機   平成29年3月29日 


直結カソードCHドライブ2A3シングルアンプ5号機


《 はじめに 》
 このアンプは5台目となる直結カソードチョークドライブ2A3シングルアンプである。
回路構成は直結カソードチョークドライブ2A3シングルアンプ3号機直結カソードチョークドライブ2A3シングルアンプ4号機とほぼ同じである。

《 使用部品 》
 出力トランスはノグチ製PMF−15WS、電源トランスはタンゴ製LH−150、CHコイルはSEL製10H200mA、カソードCHはノグチ製PMC−80H(80H8mA)使用する。 出力管はマルコニー製2A3、前段は日立製とシルバニア製6BL8を使用する。 ケースは奥澤製O−9(シルバーメタリック塗装)に、リード製MK‐350のボンネットカバーと底板を取り付ける。

《 回路構成 》
 初段は6BL8の5極部で利得を稼ぎ、3極部で直結カソードCHフォロアーで2A3をドライブする。 使用したカソードCHの直流抵抗が1200Ωのため直列に300Ωを挿入して6BL8(3極部)の動作点を調整している。
 2A3は3.5KΩ負荷とする。 A2級ドライブでは、少しロードラインを寝かせた方がスイング領域が広がって、出力増加、歪率の低下が見込める。
 2A3のヒーターは6.3Vをブリッジ整流し、DC−DCコンバーターで2.47Vに調整して供給する。ハムバランサーは不要である。 この場合、カソード引き出し線はヒーターのマイナス側とする。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.78V時に最大出力5.8Wが得られた。 直結カソードチョークドライブの効果で通常のCR結合ドライブの1.6倍の最大出力が得られた。 20HZにおける最大出力は中域の25%程度まで低下しているが、シングルアンプの宿命と思われる。
 周波数特性は10HZで±0dB、50KHZで−3dBとなったが、特に問題はないであろう。 高域遮断周波数が少し低い原因は高域補償回路の影響と思われる。
 ひずみ率は左右で少し違いがあるがまずまずの特性である。 残留雑音が1mVで少し多いが、DC-DCコンバーターからのスイッチング雑音(100KHZ以上)の影響である。 出力端子に0.1μFを挿入すれば半分以下まで低下するので、スピーカーに耳をつけても無音状態である。 クロストーク特性は低域で少し悪化しているが、特に問題ないレベルである。
 NFBは8dB、DFは7.5(ON/OFF法)であった。

《 その他 》
 残留雑音が少し多い原因はDC−DCコンバータの残留スイッチング雑音(周波数は100KH付近)でハム音ではないので、SPに耳を近づけても全く聞こえない。 OPT2次側に0.1μFを挿入すればLCH0.17mV、RCH0.14mVまで低下する。
 2A3のヒーター電源に使用したDC−DCコンバーターは入力8Vで出力3Vの規格であり、5V以上の電圧差が必要である。 そのため、6.3Vをブリッジ整流する場合に通常のシリコンブリッジを使用したのでは入力電圧が低くなり、出力電圧2.5Vが得られない場合があるので注意が必要である。 電圧降下が少ないショットキーバリアダイオードブリッジを使用するのがベターである。



ボンネット付き


内部配線


背  面






LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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