直結カソードCHドライブ2A3Cシングルアンプ7号機   平成29年9月21日 


直結カソードCHドライブ2A3Cシングルアンプ7号機


《 はじめに 》
 このアンプは7台目となる直結カソードチョークドライブ2A3シングルアンプである。

《 使用部品 》
 出力トランスはタムラ製F-912、電源トランスはラックス製4A60とノグチ製ヒータートランスPM−H1、CHコイルは山水製C-520、カソードCHは春日無線製120H20mAを使用する。 出力管はプスバン製2A3C、初段は松下製6267、カソードフォロアー段は6414(パラ)を使用する。 ケースは奥澤製O−4(シルバーメタリック塗装)に、水性ニスを塗った側板と通風孔を開けた底板を取り付ける。
 プスバン製2A3Cの外形は300Bと同じサイズであるが、内部電極は2A3Bやソブテック製2A3と同じサイズとなっている。 規格は最大プレート電圧330V、最大プレート電流70mA、最大プレート損失20Wとなっているらしい。正確な規格表は見つからない。

《 回路構成 》
 初段はEF−86の5極動作で利得を稼ぎ、6414パラ接続直結カソードCHフォロアーで2A3Cをドライブする。 使用したカソードCHの直流抵抗が約2200Ωのため、少し苦しい動作点となっているが何とかフルスイングできていると思われる。
 2A3Cのプレート損失は20Wまで許容されているが、通常の2A3でも差し替えて使用できるようにするため、4A60の1次側タップを110Vに接続した。 5U4Gで282Vを両波整流とした場合、プレート電圧245V、プレート電流60mA、プレート損失14.7Wに設定することができた。 5U4GBではプレート損失17W程度、5AR4では19W近くまで増加するが、2A3Cであればそれも可能である。
 2A3Cのヒーターは交流点火とする。しかし、ヒーター端子で電圧を測定したところ2.6Vを超えていたので、PM-H1の1次側タップを110Vに接続した。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.8V時に最大出力4.8Wが得られた。 直結カソードチョークドライブの効果で通常のCR結合ドライブよりは大きい最大出力が得られている。 20HZにおける最大出力は中域の45%程度まで低下しているが、シングルアンプとしてはまずまずの低域特性である。 周波数特性は10HZで−0.3dB、70KHZで−3dBであった。
 残留雑音は0.4mVで交流点火ではこの程度が限界と思われる。 雑音の主成分は120HZのサイン波であり、300Bを交流点火した場合よりもはるかに低い。(約1/5) クロストーク特性は低域で少し悪化しているが、特に問題ないレベルである。
 NFBは約6.6dB、DFは5.4(ON/OFF法)であった。
《 その他 》
 交流点火の場合、SWオンから動作状態に入るまで120HZの雑音が発生し約10秒後にはほとんど消える状態であった。 また、電解コンデンサーの充電電流によると思われる漏えい磁束をカソードCHが拾って一瞬ではあるがブーンと大きくなっていた。
 そこで300B3段CR結合シングルアンプ5号機と同様にタイムリレーを組み込み、SWオンから12秒間はダミー抵抗に接続、リレー動作後スピーカーへ出力する方式とした。 これにより不快な雑音は出力されなくなった。
 直熱管を交流点火した場合に問題となるのは60HZ(東日本では50HZ)のハムではなく、120HZ(100HZ)である。 これはハムバランサーで消し去ることは不可能であり、DC点火するしか方法はないと思われる。
 右の写真は残留雑音波形と120HZサイン波形を比較したものである。上段 残留雑音波形(0.4mV)下段 120HZサイン波形。




内部配線


背  面






LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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