SRPP直結ドライブ2A3シングルアンプ   平成28年5月30日 


SRPP直結ドライブ2A3シングルアンプ(ボンネットを外した状態)


《 はじめに 》
 昨年からオークションで10本あまりの2A3を落札し、直結カソードCHドライブアンプ、直結カソードフォロアードライブアンプを自作した。 今回は最大出力はあまり多くは見込めないが、低域時定数がOPTのみとなるSRPP直結ドライブアンプを自作した。 いわゆるロフチンホワイト紛いのアンプである。

《 使用部品 》
 OPTはタンゴ製H−5S、電源トランスはAtom製A−V6P、CHコイルは山水製10H100mAを使用する。 いずれもオークションで入手したものである。電源トランスのみ錆が浮いていたので黒色艶消し塗装で補修した。 シャーシーは奥澤O−9にリードMK−350のボンネットと底板を取り付けて使用したが、ボンネットの高さが2A3よりも低いためソケットを20oシャーシーに落とし込みとした。 シャーシはアルミ用エナメル(シルバー)塗料を吹き付けて使用した。エナメル塗装はアクリル塗装よりも硬化が早く仕上がりも丈夫で使いやすい。 初段球には松下製12AX7T、出力管の2A3は手持ちの中国製6本の中から選別して使用した。

《 回路構成 》
 初段は12AX7のSRPPで2A3とは直結とした。 SRPP直結ドライブはドライブインピーダンスが低く、入力容量が大きい2A3などドライブには適しているのではないだろうか。 2A3のカソード抵抗は3KΩ20Wセメント抵抗を使用し、B電源容量の関係でプレート電流は少し抑えて53mAとした。 2A3のプレート電流は初段デカップリング抵抗の100KΩ半固定抵抗を調整して、3KΩ両端電圧を160Vにセットすれば53mAとなる。
 2A3の規格表で負荷抵抗は2.5KΩとなっているが、H−5Sの1次側インピーダンスは5KΩである。そこで16Ω端子に8Ωを接続する方法で2.5KΩ負荷とした。 この方法ではOPTの定損失がわずかに増加する。
 無信号時のプレートカソード間電圧257V、プレート電流53mA、プレート損失13.62Wとなって、規格内に収まっている。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力1.6V時に最大出力3.3Wが得られた。少し電力感度が低い状態であるがラインアンプを使用した場合はこれぐらいがちょうど良い。 40HZから36KHZまでは2Wをカバーしているが、低域はOPTコアーボリュウムの影響が出ている。 0.7W出力時では10HZ−0.3dB、60KHZ−3dBとかなり広帯域である。
 NFBは9.7dB、DFは5.4(ON/OFF法)、1W時の雑音歪率はおおむね0.5%でシングルアンプとしてはまずまずの結果である。 クロストーク特性は残留雑音の影響を受け、約‐70dB以下は確認できないが、中域では‐80dB程度は取れていると思われる。 低域のクロストークはかなり悪化しているが、高域は比較的良好である。 シングルアンプではB電源を分離するなどの対策をしない限り低域クロストークの悪化は免れない。
 矩形波応答は良好である。

《 その他 》
 2A3はDC-DCコンバーターを使って直流点火としたのでハムバランサーが不要となり、ヒーターマイナス側をカソード引き出し端子とした。 使用したDC-DCコンバーター(YDS−303)の仕様は3V3Aであるが可変抵抗器を組み込んで2.5Vに調整した。


ボンネット付


内部配線

背  面





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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