直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ11号機      令和4年4月1日 


直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ11号機


《 はじめに 》
 このアンプは2A3シングルとして21台目、直結カソードフォロアードライブ形式では11台目となる。

《 使用部品 》
 今回のアンプに使用したトランスはすべてラックス製で、電源トランスは8D50、OPTはSS5B2.5、CHコイルは5BC5である。 出力管はソブテック製2A3、初段とカソードフォロアー段はEI製6BL8、整流管は松下製6CA4を使用する。 ケースは奥澤製O−10にシルバーメタリック塗装を施し、木製側板、ゴム足付きアルミ製底板を取り付けて使用する。

《 回路構成 》
 初段は6BL8の5極部で利得を稼ぎ、3極部で直結カソードフォロアーとして2A3を低インピーダンスドライブする。
 A2級ドライブにおける負荷抵抗は2.5KΩではなく3.5KΩ程度とした方が低ひずみ大出力が得られるが、SS5B2.5では2.5Kか5KΩしか選択できない。 今回は2.5KΩ負荷とする。
 出力段のカソード抵抗800Ω(実測788Ω)の自己バイアスと固定バイアスとの折衷型とし、カソードフォロアー段のバイアス電圧を調整することにより2A3のプレート電流を増減することが出来るようにする。
 B電源は140Vを1JU41と6CA4で倍電圧整流とする。 この場合、2A3のプレート電圧が250Vを超え、プレート電流を少し抑える必要があった。 そこでトランス巻き線直列に11Ω10W(22Ω5Wパラ)を挿入して調整した。 その結果、無信号時の2A3プレート対カソード電圧は244V、プレート電流は61mAでプレート損失は14.9Wとなった。 また、クロストークを改善するため、デカップリング回路は左右別とする。
 カソードフォロアー段用のマイナス電源は40Vを3倍圧整流して供給したが、倍電圧で足りたかも知れない。 カソードフォロアー段プレート回路に挿入したZD(1N4759A×2+RD−12E)は2A3のグリッド電流増加に対応するためである。
 2A3は秋月のDC-DCコンバーターを使った直流点火とする。 このコンバーターは出力電圧が可変となっているので300Bにも使用できて便利である。 ヒーター直列に0.1Ω5W抵抗を挿入しているが、コールドスタート時にコンバーターの過電流遮断機能が動作しないよう突入電流抑制ためであり、省略できない。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.87V時にノンクリップ最大出力4.5Wが得られた。 3.5KΩ負荷とすれば5W以上の最大出力が得られると思われる。 20HZでは中域の30%の最大出力となり、まずまずの低域特性となった。
 高域遮断(−3dB)周波数は68KHZ付近となり、高域補償回路無しでも容量負荷時の10KHZ矩形波応答は問題なかった。 SS5BタイプにはNFB専用巻線が装備されているので、NFBを安定して掛けることが出来た。
 100HZの歪率が1KHZ、10KHZと比較して少し悪いが、1Wでも0.3%未満となりシングルアンプとしては比較的良好に仕上がった。 クロストークは18HZ〜100KHZで−70dB以下でシングルアンプとしては良好な結果が得られた。
 NFBは10.5dB、DFは4.7、残留雑音は0.25mV未満であった。



背  面


内部配線








LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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