直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ12号機
令和4年8月31日
直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ12号機
《 はじめに 》
このアンプは2A3シングルとして22台目、直結カソードフォロアードライブ形式では12台目となる。
《 使用部品 》
今回のアンプに使用したトランスはすべてタンゴ製で、電源トランスはMS−160、OPTはU−808、CHコイルはC115である。
出力管はマルコーニ製2A3、初段とカソードフォロアー段は東芝製6U8A、整流管はソブテック製5AR4を使用する。
ケースは奥澤製O−8にシルバーメタリック塗装を施し、木製側板、ゴム足付きアルミ製底板を取り付けて使用する。
《 回路構成 》
初段は6U8Aの5極部で利得を稼ぎ、3極部で直結カソードフォロアーとして2A3を低インピーダンスドライブする。
負荷抵抗は3.5KΩとする。A2級ドライブにおける負荷抵抗は2.5KΩではなく3.5KΩ程度とした方が低ひずみ大出力が得られる。
出力段のカソード抵抗757Ω(実測754Ω)の自己バイアスと固定バイアスとの折衷型とし、カソードフォロアー段のバイアス電圧を調整することにより2A3のプレート電流を増減することが出来るようにする。
B電源は280Vを5AR4で両波整流とする。少しB電圧が高くなったので、OPT1次側に470Ω10Wを挿入した。
その結果、無信号時の2A3プレート対カソード電圧は250V、プレート電流は60mAでプレート損失は15Wぴったりとなった。
カソードフォロアー段用のマイナス電源は70Vを半波倍圧整流して供給した。
カソードフォロアー段プレート回路に挿入したZD(RD−62F×2+RD−12E)は2A3のグリッド電流増加に対応するためである。
今回は2A3を交流点火としたが、50Ωハムバランサーと22Ω2W抵抗4本でハムバランス調整が容易となる回路を組んでいる。
使用した東芝製6U8Aはヒーターカソード間漏洩電流が多い傾向が見られたので、最初から直流点火とする。
《 最大出力、測定結果 》
1KHZでは入力0.85V時にノンクリップ最大出力5.6Wが得られた。
2.5KΩ負荷の場合はもう少し小さくなると思われる。
20HZでは中域の50%以上の最大出力となり、シングルアンプとしては優秀な低域特性が得られた。
高域遮断(−3dB)周波数は80KHZ付近となった。
高域補償回路はNFB抵抗並列の220PFとOPT2次側に挿入したゾベル回路である。
100HZの歪率が1KHZ、10KHZと比較して少し悪いが、1Wでも0.3%未満となりシングルアンプとしては比較的良好に仕上がった。
最低歪率が左右で異なっている原因は、右CH2A3が少し劣化している影響と思われる。
クロストークも問題なく、シングルアンプとしては良好な結果が得られた。
NFBは6dB、DFは4.8、残留雑音は左CH0.2mV、右CH0.25mVであった。
6U8Aを直流点火とした結果、2A3を交流点火したにも関わらず、低雑音アンプに仕上がった。
背 面
内部配線
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