直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ4号機   平成29年5月22日 


直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ4号機


《 はじめに 》
 最近は直熱管シングルアンプを自作することが多いが、今回は初めてタムラ製OPTを使用して製作する。F−900シリーズは製造中止となり 、角型ケースのF−900Aシリーズに変更されるとのこと、今回使用したF−912は春日無線での最後のペアー品である。 他の販売店ではまだ在庫が残っているかもしれない。

《 使用部品 》
 電源トランスとCHコイルはどちらもLUX製8A54、4710(10H120mA)を、OPTにはタムラF−912を使用する。 出力管はソブテック製2A3、初段とカソードフォロアー段はPhilips製6U8A、整流管は松下製5AR4を使用する。 ケースは奥澤O−4にシルバーメタリック塗装を施し、水性ニスを塗ったサイドウッド、ゴム足付き底板を取り付ける。

《 回路構成 》
 直熱型3極出力管は入力容量が大きく、特に2A3はグリッド電流が流れやすいため、必然的に低インピーダンスドライブが要求される。 しかし、CR結合ではグリッド電流の影響が避けられない。 そこで、私が製作する直熱3極管シングルアンプは直結CHフォロアードライブか直結カソードフォロアードライブとしている。
 通常2A3の自己バイアスではカソード抵抗値は750Ωであるが、直結カソード(CH)フォロアーでは前段カソード電圧を調整することにより2A3のプレート電流を増減できる。 この回路は2A3を交換した場合に便利である。
 カソードフォロアー段用のマイナス電源は260Vを両波整流し、降圧して供給する。 ZDを4本直列(計210V)にしているが動作状態に入ればZDはほとんど効いていない。 単に、電源直後のマイナス高電圧を防止する目的である。
 2A3のヒーターはDC-DCコンバーターを使用した直流点火とし、ハムバランサーは使用していない。 使用した秋月のキットは電圧調整で最大5.5Vの出力電圧が得られるので300Bも使用できる。 このままの回路構成で300Bに変更すれば最大出力5.5W程度が得られる。 さらに出力管B電源に挿入している500Ω5Wを100Ω5Wに変更すれば最大出力を6W以上に増加させることが出来る。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.8V時にノンクリップ最大出力4.7Wが得られた。
 周波数特性では200KHZ付近にディップとピークが見られるが、問題ない特性が得られた。 高域遮断(−3dB)周波数は72KHZである。 容量負荷時の10KHZ矩形波応答も良好である。
 左右の利得が少し違っていたので、NFB量を調整し、LCHは6.4dB、RCHは6.6dBとなった。 そのためかDF値も左CH:6.2、右CH:6.6と異なっている。残留雑音は0.5mV前後である。
 無信号時のプレート損失はマイナス端子側で計算すれば15.04W、プラス端子側では14.89Wとなった。 ヒーター中央における値は14.98Wで規格内に収まっていることになる。

《 その他 》
 電源トランスは黒色艶消し塗装、CHコイルはシルバーメタリック塗装を施した。 電源トランスの銘板は塗装後に貼り付けることができたが、CHコイルの銘板は上部塗料が剥げたので貼り付けなかった。
しかし、F−912は巨大である。このサイズで1次最大電流70mA、最大出力8Wとは不可解である。
 直熱3極管の特性としてサイン波形の上部が先にクリップを開始するが、クリップ波形は丸みを帯び、はっきりとしたクリップ波形ではない。 直熱管シングルアンプの音が耳障りではない理由はこの辺りにあるのかも知れない。



背  面


上  面


内部配線








LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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