直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ5号機   平成29年12月18日 


直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ5号機


《 はじめに 》
 このアンプは5台目となる直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ5号機である。

《 使用部品 》
 電源トランスはノグチ製PMC‐170M、OPTはLUX製SS5B−5、CHコイルはLUX製5BC−10(10H120mA)を使用する。 出力管はソブテック製2A3、初段とカソードフォロアー段は松下製6BL8、整流管は東芝製KX−80を使用する。 ケースは奥澤O−8にシルバーメタリック塗装を施し、水性ニスを塗ったサイドウッド、ゴム足付き底板を取り付ける。

《 回路構成 》
初段は6BL8の5極部で利得を上げ、3極部を直結カソードフォロアーとして2A3を低インピーダンスドライブする。 直熱型3極出力管は入力容量が大きく、必然的に低インピーダンスドライブが要求される。 さらに2A3はグリッド電流が流れやすいためCR結合ではグリッド電流の影響が避けられない。
 2A3の負荷抵抗は2.5KΩが標準であるが、今回は手持ち部品の関係で1次側5KΩで進めることにする。 下図は2A3のプレート特性図上に2.5KΩと5KΩのロードラインを描いたものである。 赤色は5KΩ、青色は2.5KΩのロードライン。
 これによれば5KΩ負荷時はプレート電圧は270V、バイアス電圧−50V、プレート電流55mA辺りに設定するのが良いと思われる。
 カソード抵抗によるバイアス電圧45V、グリッドバイアス電圧(前段カソード電圧)は約−4Vで、実質約−49Vのバイアスとする。



2.5KΩ、5KΩ負荷時のA2級動作最大出力を計算すれば

  2.5KΩ負荷時:(393−80)×(0.128−0.003)÷8×0.93 ≒ 4.55W

  5KΩ負荷時  :(473−35)×(0.102−0.013)÷8×0.93 ≒ 4.53W

 となってほとんど同じである。OPTの効率を93%で計算。
 カソードフォロアー段のバイアス電圧を調整することにより2A3のプレート電流を増減することが出来る設定とする。 この回路は真空管を交換した場合に便利である。
 B電源は整流管を使用しているが、KX−80を通常の両波整流した場合の最大出力電流125mAとなり、定格一杯となる。 そこで、電圧調整も兼ねて、シリコンダイオードで整流後、33μF500Vで平滑後にKX−80を挿入している。 これにより出力電流は約140mAに増加する。
 カソードフォロアー段用のマイナス電源は70Vを半波倍電圧整流し、約200Vを供給する。
 2A3のヒーターはDC-DCコンバーターを使用した直流点火とし、ハムバランサーは使用していない。 使用した秋月のキットは電圧調整で最大5.5Vの出力電圧が得られるので300Bも使用できる。 コールドスタートの場合、コンバーターの過電流保護が働く恐れがあるので、ヒーター直列に0.1Ω3W2本を挿入して突入電流を抑えた。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.93V時にノンクリップ最大出力4.7Wが得られた。 上記計算結果より多くなった原因は、最大出力付近ではグリッド電流の影響でバイアスが深くなり、ロードラインの利用範囲が広がるためと思われる。
 周波数特性では200KHZ以上にディップとピークが見られるが、問題ない特性が得られた。 高域遮断(−3dB)周波数は51KHZ付近となった。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答も良好な結果が得られた。
 NFBは約7dB、DFは4.5であった。残留雑音はLch0.15mV、Rch0.3mVであった。Rchが多い原因は6BL8のヒーターカソード間漏えい電流が多いためであるが、この程度であれば全く問題ないレベルである。
 無信号時のプレート損失はマイナス端子側で計算すれば14.85Wで規格内に収まっている。

《 その他 》
 SS5B型OPTにはNFB巻き線があり、NFBを安定に掛けることが可能である。 このアンプの高域補償は2次側に挿入した0.15μFと22Ω(2W)のゾベル回路のみである。
 電源トランス、CHコイル、OPTはすべてサンドペーパー処理後に黒色艶消しスプレーで再塗装し、銘板は塗装後に貼り付けた。



背  面


上  面


内部配線







LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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