直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ8号機   令和1年6月1日 


直結カソードフォロアードライブ2A3シングルアンプ8号機


《 はじめに 》
 このアンプは令和になってからの第2作目として製作した直結カソードフォロアードライブ2A3シングルである。
 直結カソードフォロアードライブはマイナス電源が必要なため、回路的に少し複雑とならざるを得ない。 また、調整も少し面倒であるが、作りがいのあるアンプである。

《 使用部品 》
 電源トランスはラックス製4A58B、OPTはタンゴ製U−808、CHコイルもタンゴ製515(5H150mA)を使用する。 出力管はソブテック製2A3、初段とカソードフォロアー段は6BL8を使用する。 ケースは奥澤製O−9にリード製MK−350のボンネット、ゴム足付き鉄製底板(リード純正)を取り付けたものを使用する。

《 回路構成 》
 初段は6BL8の5極部で利得を稼ぎ、3極部を直結カソードフォロアーとして2A3を低インピーダンスドライブする。
 一般に2A3の負荷抵抗は2.5KΩが標準であるが、A2級アンプでは3.5KΩとしたほうが低ひずみ大出力が得られる。 下表は2A3のプレート特性図上に2.5KΩロードライン(青色)と3.5KΩロードライン(赤色)を記入したものである。
 実測による動作点はプレート電圧249V、グリッドバイアス−46V、プレート電流59mA付近となった。
 それに基づきグリッド+20V〜−108Vまでドライブしたと仮定した場合の最大出力は下の計算式の通りである。

    (430−32) × (0.120−0.008) ÷ 8 ≒ 5.57(W)


 出力段のカソード抵抗800Ω(実測784Ω)の自己バイアスと固定バイアスとの折衷型とする。 カソードフォロアー段のバイアス電圧を調整することにより2A3のプレート電流を増減することが出来る設定とする。
 B電源は136Vを両波倍電圧整流として約350Vを供給する。クロストークを改善するため、デカップリング回路は左右別とする。
 カソードフォロアー段用のマイナス電源は90Vをブリッジ整流し、107Vを供給する。
 2A3は秋月のDC-DCコンバーターを使った直流点火とする。 このコンバーターは出力電圧が可変となっているので300Bにも使用できて便利である。 ヒーター直列に0.1Ω2W抵抗をそれぞれ挿入しているが、コールドスタート時にコンバーターの過電流遮断機能が動作しないよう突入電流を抑制ためであり、省略できない。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力0.7V時にノンクリップ最大出力5.1Wが得られた。上記計算値にOPTの効率を乗ずればほぼ一致している。
 周波数特性では300KHZまでに目立つピークやディップはなく、良好であった。  高域遮断(−3dB)周波数は85KHZ付近となった。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答も良好な結果が得られた。
 100HZにおける歪率は 10KHZ、1KHZと比較して悪いが、シングルアンプの特徴ではないだろうか。 4W以上ではひずみ率が1%を超えているが、比較的良好であった。
 NFBはLch10.3dB、Rch10dB、DFはLch6.2、Rch5.7、残留雑音は左右とも約0.5mVであった。 LCHのDF値が僅かに大きくなっているが、利得調整のためLchのNFBを増加させたことが影響していると思われる。
 無信号時の2A3のプレート損失は14.7Wで、最大定格内に収まっている。

《 4A56Bについて 》
 ラックス4A58BはSQ−38D用に製造されたパワートランスである。 このトランスのB電源用巻き線は136V倍電圧整流でタップがないため、2A3シングルには少し高過ぎるので直列抵抗で調整しなければならない。
 ヒーター巻き線は6.3V2.5Aと6.3V2.65Aの2組しかなく、このアンプに使用するには不足したのでヒータートランス(6.3V2A))を内蔵させている。 一方、45V×2(DC150mA)の巻き線があり、マイナス電源には便利である。


ボンネット付き


背  面


内部配線







LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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