直結カソードCHドライブ300Bシングルアンプ   平成27年7月12日 


直結カソードCHドライブ300Bシングルアンプ


《 はじめに 》
 平成27年3月に2A3シングルアンプを自作したのに続き、今回は300Bシングルアンプに挑戦した。 2A3ではカソードCHドライブが好結果が得られたので今回も同じ方式とする。 しかし、全てのトランスが大形にせざるを得ないので、重量級のアンプとなってしまった。

《 使用部品 》
 OPTはノグチPMF−20WS、電源トランスもノグチPMC−264M、CHコイルはタンゴMC−3−350、カソードCHはノグチPMC−3030Hを使用する。 シャーシーは奥澤製O−4にシルバー塗装を施し、両サイドに水性ニスで仕上げた木板を取り付ける。
 初段球は日立製とムラード製の6267、カソードフォロアーはユーゴスラビア製6CW5(3結)、出力管の300Bはオークションで入手したNATIONAL ELECTRONICS(made in china) 製である。整流管には300Bと同じST管である5U4G(メーカー不明)を使用する。

《 回路構成 》
 初段は6267を5極管接続で利得を稼ぎ、6CW5(3結)を使った直結カソードCHドライブ(30H30mA)とした。 初段の出力電圧を大きくしなければ300Bを十分ドライブできない可能性があるので回路定数の決定には気を付ける必要がある。
 300Bのヒーターは5V1.2Aである。トランス巻線の関係で5V4Aをブリッジ整流して供給したが、定格より少し低い4.7Vとなった。
 カソードCHに使用したノグチPMC−3030Hの規格は30H30mA、直流抵抗750Ωである。 そのため6CW5のバイアスが深くなり過ぎるのでバイアス調整用VRを取り付けた。 このVRの調整で6CW5のプレート電流を21mA、300Bのプレート電流を85mAにセットした。
 整流管は、5AR4、5U4G、5U4GBの中から5U4Gを選択したが、これには理由がある。 PMC−264MはB巻線抵抗が38Ω、1次側は0.8Ω、合わせて41Ω(38+0.8×3.6=40.88)程度しかない。 そのため、ピーク電流の大きな整流管を使うか、追加の保護抵抗を挿入する必要がある。

 5AR4で360Vを整流すればB電圧を高く出来るが、保護抵抗を大きくしなければならないのであまり意味がない。また、保護抵抗における発熱も多くなる。
 5U4GBを使えば保護抵抗無でも使用出来るが、スタイルが合わない。
 5U4GはST管で300Bとよく合っているが、保護抵抗を挿入する必要があり、B電圧も少し低くなる。

   最初、400Vタップを使用していたが、ウォームアップまでの間、電解コンデンサーのサージ電圧が定格を超えてしまったので、安全を考えて360Vタップに変更した。

《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力2.2V時に最大出力11W強が得られたが、100HZでは少し低下している。それでも、40HZから30KHZまでは9Wをカバーしている。 少し電力感度が低いが通常の使用状態では問題ない。
 300Bをプレート電圧330V負荷抵抗3.5KΩでCR結合とした場合、最大出力は7W前後であることから、直結カソードCHドライブによる出力増加は60%に達している。
 残留雑音は左CHが0.13mV、右CHが0.1mVで、かなり優秀である。左CHは電源トランスからの漏洩磁束を拾っているようである。
 NFBは内外合わせて7.3dB、DFは5.7(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。55KHZ辺りで−3dBとなり、90KHZから上に山谷(うねり)が見られるが、これはOPTの特性と思われる。
 1W未満の歪率カーブが左右で異なっているが、これは300Bのバラツキと思われる。 初段と出力管で歪の打消し動作を行っているが、メーカー発表の6267動作例の定数では歪率がかなり悪化した。
 30HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約70%程度が得られているので、シングルアンプとしてはまずまずの低域特性である。
 クロストークは低域で少し悪化しているが、中域では80dB以上とれている。

《 その他 》
 クリップ時の波形も先端が鋭く切り取られるのではなく、丸みを帯びた形となっている。これが300Bの特徴かも知れない。



内部配線

背  面





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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