直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ10号機   令和5年5月7日 


直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ10号機


《 はじめに 》

 このアンプは10台目となる300Bシングルアンプである。 これまでに製作した9台すべてが人手に渡り、手元には残っていない。
 そこで自家用として製作する。

《 使用部品 》

 電源トランスはラックス製9F220、CHコイルはタンゴ製MC−10−200D、出力トランスもタンゴ製FW−20Sを使用する。 シャーシーは奥澤製O−4に中古リード製MK−400のボンネットカバーを取り付ける。
 初段はGE製6SJ7、直結カソードフォロアー段にはKEN−RAD製6C5、出力管にはプスバン製300Bを使用する。前段球はすべてメタル管で揃えた。

《 回路構成 》

 このアンプは直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ8号機とほぼ同じ回路構成とする。
 初段の6SJ7は5極管接続で利得を上げ、6C5で直結カソードフォロアードライブする。 300BはDC-DCコンバーターを使用して直流点火とする。ハム対策のため前段球もすべてDC点火とする。 B電源は380Vをブリッジ整流、ダイオード直後にJJ製50μF560V、CHコイル出口にはJJ製の200μF560Vの電解コンデンサーを経て供給する。
 マイナス電源は130Vをブリッジ整流して供給する。 
 出力段はカソード抵抗1.2KΩの自己バイアス(−84V)とカソードフォロアー段固定バイアス(約+2.4V)の折衷型で、実質約−81.6Vのバイアスとなる。
 プレート電圧478V、カソード電圧84Vで差し引き394Vが実効プレート電圧となる。 その時のプレート電流は70mA、プレート損失は約27.6Wである。
 300Bプレート特性図上で動作点を394V/70mAとして3.5KΩのロードラインを表したのが下図である。 この表で+20Vから−170Vまでドライブした場合の最大出力の計算値は

  (625−50)×(0.171−0.008)÷8 ≒ 11.72(W) となる。

 さらにOPTの効率を96%とすれば

  11.47×0.96≒11.25(W) と推定できる。



 この時、ドライブ電圧はピーク値102Vが必要となるため、初段、カソードフォロアー段のプレート供給電圧は可能な限り高くする必要がある。 このアンプの初段プレート供給電圧は420V、カソードフォロアー段供給電圧はプレート側184Vカソード側マイナス158Vの計342V程度となっている。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力1.3V時に最大出力11.3Wが得られ、上記計算値とほぼ一致した。 低域では少し低下しているが、30HZから65KHZまでは5Wをカバーしている。
 残留雑音は左CH0.23mV、右CH0.32mV、NFBは4dB、DFは5.7(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。NFBが少ないので高域の位相補償はOPT2次側のゾベル回路のみである。 周波数特性は10HZで−0.3dB、96KHZで−3dBとなった。(0dB=0.7W)
 歪率は100HZが少し多めではあるが、左右とも同じような傾向で所謂ソフトディストーションカーブを示した。 歪率は5W付近まで1%を下回り、4dBのNFBにしては良好であった。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約30%程度が得られた。 クロストークは低域で少し悪化しているが中域高域では問題ない特性が得られた。

《 その他 》

 出力端子は8Ωと5.6Ωを引き出しているので6ΩSPに対応できる。 5.6Ω端子に4ΩSP、または8ΩSPを接続した場合、300B負荷抵抗はそれぞれ2.5KΩ、5KΩとなり、最大出力が少し低下する。



ボンネット付き


背  面


内部配線





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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