直結カソードCHドライブ300Bシングルアンプ2号機   平成28年7月13日 


直結カソードCHドライブ300Bシングルアンプ2号機


《 はじめに 》
 平成27年7月に自作した300Bシングルアンプは嫁入りしてしまったので、300Bシングルアンプ2号機を自作した。

《 使用部品 》
 OPTはタンゴU−808、電源トランスはノグチPMC−170M、CHコイルはノグチPMC−518H、カソードCHは春日KAC−200を使用する。 シャーシーはリードのMK‐400を使用する。
 初段は6AN8の5極部、カソードフォロアー段は6AN8の3極部を使用する。出力管の300Bはオークションで入手したブスパンを使用する。

《 回路構成 》
 300BをA2級ドライブするためにはピーク値85V程度が必要である。そのため初段への供給電圧はできるだけ高くしなければならない。 
 今回採用したカソードCH(春日KAC−200)のインダクタンスは200H、許容電流10mA、直流抵抗4.37KΩ、オリエントコアーの仕様である。 直流抵抗値が大きいため、プレート電流は2〜3mA程度しか流せない。
 前作では30H30mAと6CW5の3結の組み合わせでプレート電流20mAで使用した。
 6AN8の3極部のカソードフォロアーでピーク値90Vのドライブ電圧が確保できるかプレート特性図にロードラインを引いて検討した。
 緑のラインは4.37KΩのカソード負荷線、赤のラインは50KΩ(40HZにおけるKAC−200のインピーダンス)のロードラインを示している。



 この図によればプレート電圧220V、バイアス電圧−12V、プレート電流2.8mAの条件で何とか確保できそうである。
 下表は300Aのプレート電圧350V時の動作例である。この中でプレート抵抗5KΩを採用したが、この条件での最大出力は6.2Wである。
 また、A2級動作ではバイアスを少し浅めに設定したほうが最大出力が多く取り出せるのでカソード抵抗は1.2KΩとした。 その結果、前段カソード電圧12Vを考慮したときの正味のバイアス電圧は−70V、プレート電流は67mAとなった。



《 最大出力、測定結果 》
 1KHZでは入力1V時に最大出力9W弱が得られたが、100HZでは少し低下している。それでも、40HZから30KHZまでは6Wをカバーしている。 1号機と比較してかなり下がってしまったが、動作例と比較すれば45%程度増加している。
 残留雑音は左右CH共0.15mVで、かなり優秀である。NFBは8.2dB、DFは5.4(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。OPTの高域特性にバラツキが見られ、高域周波数特性に差を生じている。OPTはオークションで入手したもので、製造時期が異なっている影響かもしれない。
 1W未満の歪率カーブが左右で異なっているが、これは300Bのバラツキと思われる。 初段の6AN8Aは6本の中から選別して使用したが、同じ回路定数では歪率にかなり大きな差を生じたため、SG抵抗を調整して最良点を決定した。
 30HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約60%程度が得られている。 クロストークは低域で少し悪化しているが、50HZ〜70KHZで75dB以上とれているので問題ない。

《 その他 》
 やはり小さな6AN8Aだけで300Bをドライブすることは少し無理があると思われる。 最大出力付近でのグリッド電流の増加を吸収しきれていない模様である。 カソードCHドライブではもう少し許容電流の大きい(直流抵抗値の低い)CHコイルを使用し、プレート電流を多くしたほうが良い結果が得られると思われる。



内部配線

背  面





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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