300Bシングルアンプ6号機   平成29年11月4日 


300Bシングルアンプ6号機



《 はじめに 》

 このアンプは6台目となる300Bシングルアンプである。 今まで直結カソードCHドライブタイプを自作してきたが、大きなドライブ電圧が得られる反面、初段の出力電圧も大きくしなければならない。 そこで今回は前段を2段増幅として製作する。

《 使用部品 》

 電源トランスはタンゴ製MS-DA、CHコイルはSEL製C−1020、出力トランスはタンゴ製U−808を使用する。 シャーシーはリード製のボンネット付きMK‐400を使用する。
 初段と次段には6FQ7を6本、出力管の300Bにはプスバン製を使用する。

《 回路構成 》

 今回のアンプの増幅段はすべて6FQ7のSRPPで構成し、低インピーダンス増幅回路とする。 初段は1本の6FQ7でSRPPを構成し、ドライブ段はパラ接続2本で構成する。 ドライブ段上段のカソード電圧は300V程度となるため他の球とヒーターを共用出来ないので注意が必要である。 また、すべてCR結合では低域時定数が3段となるので1か所を直結とする。
 300BはDC-DCコンバーターを使用して直流点火とする。 MS-DAのヒーター巻き線は5V3Aと6.3V3Aがそれぞれ2回路となっているが、300B用に5V3Aを整流したのではDCコンバーターの出力電圧が5Vに達しない。 DC-DCコンバーター入力電圧の不足が原因。 そこで6.3V2回路を300Bのヒーター用として使用し、前段の6FQ7は5Vで点灯するしかない。
 B電源は195Vタップを使用して倍電圧整流とする。その時CHコイルの出口では515V程度となるので550V電解コンデンサーを使用する。 210Vタップを使用した場合、B電圧は545V程度が得られ、最大出力増加も期待できるが、550V電解コンデンサーの耐圧が問題である。
 ドライブ段は出来るだけ高いプレート供給電圧が必要となるのでデカップリング抵抗を小さくする。 そこに使用する電解コンデンサーも500V級では耐圧不足のため400V100μFを2段重ねとする。
   出力段はカソード抵抗1.2KΩの自己バイアスとし、プレート対カソード電圧は408.5Vとなった。 その時のプレート電流は70mA、プレート損失は約28.6Wである。この条件での最大出力は9W程度が予想される。

 (625−107)×(0.156−0.008)÷8=9.583(W)

 OPTの効率を93%とすれば

  9.583×0.93=8.9(W) と計算される。



《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力0.68V時に最大出力9Wが得られたが、ほぼ上記計算のとおりである。 低域では少し低下しているが、35HZから70KHZまでは5Wをカバーしている。 CR結合部を0.1μF×100KΩとした場合、超低域にピークが発生したので0.056μF×100KΩとした。
 残留雑音は左右とも0.45mVでまずますの値である。 NFBは10dB、DFは8.2(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。 周波数特性は10HZで−0.8dB、80KHZで−3dBとなった。 周波数特性上に大きなピークやディップは発生していない。
 歪率のカーブは左右、各周波数とも同じような傾向で所謂ソフトディストーションカーブを示した。 最低歪率は0.1%を少し下回る程度であった。 右CHの歪率が少し多い原因は300Bのバラツキと思われる。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約37%程度が得られているが、シングルアンプとしては標準的と思われる。 クロストークは低域、高域で少し悪化しているが概ね良好である。 なお、初段のシールドケースを取り外すと高域のクロストークが増加するので省略出来ない。

《 その他 》

 巨大なアルミ缶製のコンデンサーは120μF500VのMPコンデンサーで、OPTB端子とカソードの間に挿入している。 このアンプは3段増幅のためOPTの1次側は通常接続であるが、2次側は3番端子をグラウンドに接続し1番端子をホットに接続している。
 現在、中国でも6FQ7用のシールドケースは製造されてない模様で、入手可能なアメリカ製は少し高価である。



ボンネット付き


内部配線


背  面





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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