300Bシングルアンプ7号機   平成30年2月23日 


300Bシングルアンプ7号機



《 はじめに 》

 このアンプは7台目となる300Bシングルアンプである。 前2作はCR結合であったが、今回は最大出力増加が見込める直結カソードフォロアードライブで製作する。

《 使用部品 》

 電源トランスはLUX製9F220、CHコイルはLUX製6BC−10、出力トランスはタンゴ製U−808を使用する。 シャーシーはリード製のボンネット付きMK‐400を使用する。
 初段と直結カソードフォロアー段にはシルバニア製の複合管6AW8A、出力管の300Bにはプスバン製を使用する。

《 回路構成 》

 初段6AW8Aの5極管部は低プレート抵抗で使用してプレート電流を多めに設定する。 プレート電流は約10mAでプレート損失は1.8W、許容損失3.5Wの約50%である。 カソードフォロアー段は実効プレート電圧340Vを確保し、300Bのドライブ電圧約90Vを得ている。 300BはDC-DCコンバーターを使用して直流点火とする。
 B電源は360Vタップを使用してブリッジ整流とする。 その時、CHコイル出口は500V未満であるが安全を考慮して400V100μFの2段重ね、チョークコイルの出口には550V耐圧の電解コンデンサーを使用する。 380Vタップを使用した場合、B電圧はさらに30V程度増加し、最大出力増加も期待できるが、550V電解コンデンサーの耐圧が問題である。
 ドライブ段は出来るだけ高いプレート供給電圧が必要となるのでデカップリング抵抗を小さくする。
   出力段はカソード抵抗857Ω(1.2KΩ、3KΩパラ)の自己バイアスとし、プレート対カソード電圧は359Vとなる。 その時のプレート電流は80mA、プレート損失は約28.7Wである。
 300Bプレート特性図上で動作点を359V80mAとして3.5KΩのロードラインを引き、+15Vから−159Vまでドライブした場合の最大出力は

  (620−56)×(0.17−0.007)÷8≒11.5(W) となる。

 さらにOPTの効率を93%とすれば

  11.5×0.93≒10.7(W) と推定できる。



 ここで問題となるのは6AW8Aの5極管部でP-P間180V以上が取り出せるかどうか、さらに3極管部のカソードフォロアーで300Bのグリッドプラス領域までドライブできるかである。 カット&トライでやってみることにする。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力2.35V時に最大出力10.8Wが得られたが、ほぼ上記計算のとおりである。 低域では少し低下しているが、25HZから59KHZまでは5Wをカバーしている。
 サイン波形の上部が先にクリップを始めることから、ドライブ電圧は十分得られ、300Bのグリッドプラス領域までドライブ出来ている模様である。
 残留雑音は左右とも0.5mV、NFBは6dB、DFは5.5(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。 周波数特性は10HZで±0dB、70KHZで−3dBとなった。(0dB=0.7W) 周波数特性上では150KHZまでに大きなピークやディップは発生していない。500KHZ辺りのピークは問題ないと思われる。
 歪率のカーブは左右、各周波数とも同じような傾向で所謂ソフトディストーションカーブを示した。 歪率は7W付近まで1%を下回り、6dBのNFBにしては良好であった。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約40%程度が得られたが、シングルアンプとしては標準的と思われる。 クロストークは低域で少し悪化しているが概ね良好であった。 なお、初段のシールドケースを取り外すと高域のクロストークが増加するので省略出来ない。

《 その他 》

 巨大なアルミ缶製のコンデンサーは120μF500VのMPコンデンサーで、OPTB端子とカソードの間に挿入している。
 6AW8A(日本製)の手持ち10本の中から選別して使用する予定であったが、いずれもHK間漏洩電流や特性の不ぞろいのため使用できなかった。



ボンネット付き


内部配線


背  面





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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