直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ8号機   平成31年3月16日 


直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ8号機


《 はじめに 》

 このアンプは8台目となる300Bシングルアンプである。 前作と同じ直結カソードフォロアードライブで製作する。

《 使用部品 》

 電源トランスはLUX製9F220、CHコイルはタムラ製A−825、出力トランスも同じタムラ製F−913を使用する。 シャーシーはリード製のボンネット付きMK‐400を使用する。
 初段はGE製6SJ7、直結カソードフォロアー段にはRCA製6J5、出力管にはプスバン製300Bを使用する。

《 回路構成 》

 初段の6SJ7は5極管接続で利得を上げる。 300BはDC-DCコンバーターを使用して直流点火とする。
 B電源は380Vタップを使用してブリッジ整流とする。 その場合、整流直後のB電圧が530V程度まで上昇するためダイオード直後は100μF400Vの2階建てとし、CHコイル出口にはJJ製の200μF560Vの電解コンデンサーを使用する。
   出力段はカソード抵抗909Ω(1KΩ、10KΩパラ)の自己バイアス(−72V)とカソードフォロアー段固定バイアス(−12V)の折衷型とし、併せて−84Vのバイアスとする。
 プレート電圧483V、カソード電圧72Vで差し引き411Vが実効プレート電圧となる。 その時のプレート電流は79mA、プレート損失は約32.5Wである。
 300Bプレート特性図上で動作点を411V/79mAとして3.5KΩのロードラインを表したのが下図である。 この表で+15Vから−183Vまでドライブした場合の最大出力の計算値は

  (670−63)×(0.176−0.005)÷8 ≒ 12.97(W) となる。

 さらにOPTの効率を93%とすれば

  12.4×0.93≒12.07(W) と推定できる。



 この時、ドライブ電圧はピーク値99Vが必要となる。初段、カソードフォロアー段のプレート供給電圧は可能な限り高くする必要がある。 初段プレート供給電圧は430V、カソードフォロアー段供給電圧はプレート側約203Vカソード側マイナス166V、計369V程度となっている。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力1.6V時に最大出力11.5Wが得られたが、上記計算値を少し下回った。 低域では少し低下しているが、25HZから30KHZまでは5Wをカバーしている。F−913のスペックでは最大8Wである。
 サイン波形の上部が先にクリップを始めることから、バイアスを少し浅くしてプレート電流を90mAまで増加すれば波形の上下が同時にクリップする状態にできる。 その時の最大出力は12.5Wまで増加するが、F−913(1次側許容電流80mA)、300B(プレート損失36W)の規格を超えるので無理である。
 残留雑音は左右とも0.35mV、NFBは6dB、DFは7.8(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。 周波数特性は10HZで−0.4dB、70KHZで−3dBとなった。(0dB=0.7W) 周波数特性上では150KHZにディップ、200KHZにピークが発生している。
 歪率のカーブは左右、各周波数とも同じような傾向で所謂ソフトディストーションカーブを示した。 歪率は7W付近まで1%を下回り、最低ひずみ率は0.08%程度で6dBのNFBにしては良好であった。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約40%程度が得られたが、シングルアンプとしては標準的と思われる。 クロストークは低域で少し悪化しているが概ね良好であった。

《 その他 》

 タムラF−913は3段増幅用となっているため、取り扱い説明書の通りに1次側を接続すると正帰還となるので注意が必要である。
 サイン波形の上部が先にクリップを始めることから、300Bがカットオフしている模様である。 負荷抵抗を少し大きくしたほうが最大出力が増加し低ひずみとなるのではないだろうか。
 出力管カソードバイパスをなくした製作例をよく見かけるが、その場合、残留雑音は3倍以上に増加する。



ボンネット付き


背  面


内部配線





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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