直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ9号機   令和3年6月4日 


直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ9号機


《 はじめに 》

 このアンプは9台目となる300Bシングルアンプである。 前作と同じ直結カソードフォロアードライブで製作する。

《 使用部品 》

 電源トランスは西崎電機特注品、CHコイルは山水製C−901、出力トランスはハシモト製H−20−3.5Uを使用する。 シャーシーはゼネラルトランス製S−283に中古ボンネットカバーを取り付けて使用する。
 初段はGE製6SJ7、直結カソードフォロアー段にはRCA製6J5、出力管にはプスバン製300Bを使用する。

《 回路構成 》

 このアンプは直結カソードフォロアードライブ300Bシングルアンプ8号機のトランス類を変更したのみで、使用球、回路構成はほぼ同じである。
 初段の6SJ7は5極管接続で利得を上げ、6J5で直結カソードフォロアードライブする。 300BはDC-DCコンバーターを使用して直流点火とする。 B電源は350Vをブリッジ整流、ダイオード直後は100μF400Vの2階建てとし、CHコイル出口にはJJ製の200μF560Vの電解コンデンサーを使用する。
 マイナス電源は150Vをブリッジ整流して供給する。 
 出力段はカソード抵抗880Ω(1KΩ、7.5KΩパラ)の自己バイアス(−66.5V)とカソードフォロアー段固定バイアス(−7.6V)の折衷型とし、 併せて約−74Vのバイアスとする。
 プレート電圧418V、カソード電圧66.5Vで差し引き351.5Vが実効プレート電圧となる。 その時のプレート電流は75.6mA、プレート損失は約26.6Wである。
 300Bプレート特性図上で動作点を351.5V/75.6mAとして3.5KΩのロードラインを表したのが下図である。 この表で+20Vから−168Vまでドライブした場合の最大出力の計算値は

  (606−43)×(0.168−0.005)÷8 ≒ 11.47(W) となる。

 さらにOPTの効率を96%とすれば

  11.47×0.96≒11(W) と推定できる。



 この時、ドライブ電圧はピーク値94Vが必要となる。初段、カソードフォロアー段のプレート供給電圧は可能な限り高くする必要がある。 初段プレート供給電圧は390V、カソードフォロアー段供給電圧はプレート側170Vカソード側マイナス156V、計326V程度となっている。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力1.4V時に最大出力11Wが得られ、上記計算値と一致した。 低域では少し低下しているが、25HZから70KHZまでは5Wをカバーしている。
 残留雑音は左CH0.23mV、右CH0.28mV、NFBは5dB、DFは6.5(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。 周波数特性は10HZで±0dB、80KHZで−3dBとなった。(0dB=0.7W) 周波数特性上では200KHZにディップが発生していたが、おおむね良好な結果が得られた。
 歪率のカーブは左右、各周波数とも同じような傾向で所謂ソフトディストーションカーブを示した。 歪率は6W付近まで1%を下回り、最低ひずみ率は0.04%程度で5dBのNFBにしては良好であった。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約32%程度が得られた。 クロストークは低域で少し悪化しているが中域では80dBを下回っていた。

《 その他 》

 ハシモトH−20−3.5Uは3段増幅用となっているため、2次側8Ω端子をグランドに接続し、0Ω端子からNFBを掛けなければ正帰還となるので注意が必要である。 初段のプレート電圧が左右で異なっているが、300Bと歪打ち消し動作を行った結果である。



ボンネット付き


背  面


内部配線





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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