直結カソードフォロアードライブ40KG6A(3結)シングルアンプ   令和元年7月19日 


直結カソードフォロアードライブ40KG6A(3結)シングルアンプ

《 はじめに 》

 手元に40KG6Aが10数本残っていたので 35LR6(3結)シングルに続き2台目となる水平出力管(3結)シングルを製作する。
 水平出力管を使用する場合、ヒーター電源の確保が問題となるが、それさえ解決できればビーム管接続では大出力が期待できる。 また、3極管接続では低内部抵抗の効果で低域特性の優れたアンプに仕上げることができる。 欠点としては直線性が良くない、特性のバラツキが大きい、発熱量が多い等である。

《 使用部品 》

 40KG6AはPhilipsECG(Sylvania)製、初段とカソードフォロアー段の複合管6AW6Aも同じくPhilipsECG製を使用する。 どちらもあまり人気がないためか廉価で入手できる。
 電源トランスはラックス製4A58B、CHコイルは山水製C−5−300、出力トランスはタンゴ製U−808を使用する。 出力段には低域クロストーク改善のためPMC−813H(8H130mA)を左右別に挿入する。 また、ヒーター電圧確保のためToyozumi製HT2405(24V0.5A)のトランスを使用する。
 シャーシーは旧スズラン堂製SL−8を再利用する。左右に不要な開口部があったので水性ニスを塗った木板を取り付ける。

《 回路構成 》

 初段は6AW8Aの5極部で利得を上げ、3極部で直結カソードフォロアードライブとする。 40KG6AのヒーターはHT2405の2次側0V端子を1次側0V端子に接続して80Vを生成し、40KG6Aを直列点火する。
 B電源は136Vタップを使用して倍電圧整流する。 マイナス電源は90V(45V−0−45VDC150mA)と6.3V2.5Aを直列にしブリッジ整流して供給する。 2巻線を直列としたのは少しでも高いマイナス電源を得るためである。
   出力段はカソード抵抗600Ω(100Ω5W+500Ω25W)の自己バイアスとカソードフォロアー段固定バイアスの折衷型とする。
 最終的にプレート実効電圧約240V、バイアス電圧−70V、プレート電流100mAに設定した。 プレート損失は約24Wで許容値の70%で余裕の動作である。
 水平出力管のSG電圧を高くするとプレート電流が増加するため、必然的にバイアス電圧も高くしなければならない。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力1V時に最大出力7.3Wが得られた。 低域では少し低下しているが、18HZから32KHZまでは5Wをカバーしている。
 残留雑音は左右とも0.2mV、NFBは9.2dB、DFは5.4(ON/OFF法)であった。
 容量負荷時の矩形波応答は比較的良好である。 周波数特性は10HZで−0.1dB、75KHZで−3dBとなった。(0dB=0.7W)
 周波数特性上では500KHZ付近にピークが発生しているが問題ないレベルと思われる。
 20HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の約76%が得られ、シングルアンプとしては非常に優れている。 その理由は40KG6A(3結)の内部抵抗が低いこと、OPT1次側インピーダンスを2KΩとしたことに依ると思われる。
 出力管個別にCHコイルを挿入したにも関わらず低域のクロストーク特性は良くなかった。

《 その他 》

 40KG6Aの最大SG電圧275Vに対して240Vで規格内に収まっている。 プレート電圧をもう少し上げれば最大出力を10W以上まで増加させることができる。
 6AW8AはTV球のためかマイクロフォニック雑音が多く、また、ヒーター由来のハム雑音が多いことが欠点である。 交流点火では残留雑音が0.6〜1mV程度から下がらなかったので直流点火に改造したところ0.2mVまで下げることができた。
 球を交換した際に調整が楽となるようにシャーシー上にカソードテストピンと調整用VRを取り付けたが、前部ではなく出力管後部辺りにした方が良かったかも知れない。



背  面


内部配線





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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