直結カソードフォロアー5998Aパラシングルアンプ2号機 平成23年2月1日 直結カソードフォロアー5998Aパラシングルアンプ2号機 《 はじめに 》 このアンプは昨年(平成22年)に試作した5998Aパラシングルアンプ1号機を分解し、ケースを新たにして製作したものである。 《 使用部品 》 電源トランス(三重の西崎電機特注)、CHコイル(旧タンゴMC-3-350)、出力トランス(PMF-20W-600S)などトランス類はすべて流用した。 また、直結カソードフォロアー回路は定電流ダイオードにノグチトランスのカソードチョーク(80H8mA)を、ケースはリードMK-400(サイズ400×250×50)を採用した。 5998Aは前回選別したものをそのまま流用した。内部ユニットのプレート電流差は5%以内に収まっている。 初段とカソードフォロアー段は6267、6AQ8から複合管である6U8に変更した。 最近、6267の良品が入手困難となってきたが、6U8は1000円程度で入手可能である。 《 回路構成 》 直結カソードフォロアー回路にカソードチョークを使用した場合、マイナス電源が不要になるため、回路は簡単に出来る。 初段6U8(5極管部)のスクリーングリッド電圧はブリーダー抵抗を変化させて歪率最良点に調整している。(2次歪打消し動作) そのため、左右で回路定数が異なっているが、これにより1KHZ1W時の歪率は0.04%付近まで減少した。 OPTは前回と同じで1次800Ω(5998A1ユニット当たり1.6KΩ)の接続とした。 カソードバイパスコンデンサーが470μFの場合、10HZ未満で弱い発振が観測されたので、2倍の940μFに増量したところ、ほとんど観測されなくなった。 今回は多重ループ帰還回路とし、5998Aプレートから初段カソードへ軽く(3dB)NFBを戻している。 また、B電源の電解コンデンサーも560μFから880μFへ増量した。 《 最大出力、測定結果 》 RLch共入力1.1Vでクリップ開始出力9.5Wが得られた。無信号時における各ユニットのプレート損失は13.9W、最大損失15Wに対して93%である。 NFBは内側ループに3dB、外側ループに11dBをかけている。 残留雑音は左右とも0.3mVで試作機よりも若干増加しているが、CHコイル出口の電解コンデンサー容量を1号機と同じ560μFでは0.45mVであった。 一般に出力管プレートから前段にNFBをかけた場合、出力管内部抵抗が減少するが、残留雑音は増加傾向となる。 つまり、B電源残留リップルはOPT1次インピーダンスと出力管内部抵抗により按分されるわけであるが、出力管内部抵抗の低下により、2次側に現れる割合が大きくなるためである。 しかし、ダンピングファクターは内部抵抗低下の効果により増加し、14(オンオフ法)となっている。 高域の周波数特性では200KHZの小さなディップと600KHZ付近の鋭いディップが発生している。 10KHZ矩形波の再現性も良好である。単一ループ帰還ではカソードチョークの影響があらわれ、容量並列時のリンギングが少し大きくなる。 《 その他 》 PMF−20W−600Sの1次インダクタンスは1.2Hと小さい。そのため、出力管内部抵抗が高い場合は出力トランスを含む回路の低域時定数が小さくなるので注意しなければならない。 出力段の低域遮断周波数は出力管内部抵抗をrp(KΩ)、OPT1次インピダンスをRL、OPT1次インダクタンスをL(H)とすれば下記の計算で求めることが出来る。 低域遮断周波数=159×rp×RL/{L×(rp+RL)} つまり低域遮断周波数は 出力管内部抵抗と負荷抵抗の並列値に比例し、OPT1次インダクタンスに反比例する。 このアンプでは、使用した出力トランスの1次インダクタンスが低い値にも係わらず、低rpが効いて約21HZである。 しかし、100HZ歪率に悪化傾向が見られるので、もう少し低くしたいところである。 カバーを取り外した状態 背 面 内部配線 LCH 8Ω 1W 矩形波 |
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