SRPPドライブ6BQ5(T)シングルアンプ 令和4年6月10日


SRPPドライブ6BQ5(T)シングルアンプ


《 はじめに 》

 先日、小型シングル用OPT(SE−5K4W)を入手した。このOPTの主な規格は下記の通り。

 1次インピーダンス 5KΩ(ULタップ:42%)
 2次インピーダンス 4Ω、8Ω、16Ωより選択
 出力容量(40HZ) 4W
 周波数特性 20〜40KHZ(−2dB、+10dBV入力時)
 1次許容電流 40mA
 コアー組、材質 不完全バットジョイント、オリエント材

 この規格で問題となるのは1次許容電流が40mAのため、出力管の選択範囲が狭くなり、小型管の3結等が選択肢が考えられる。 6V6GT、6AQ5、6AR5、6BQ5などの3結か6GF7A、6FM7、6EW7、6DE7などの垂直発振出力用複3極管が候補に挙がる。 今回は6BQ5(3結)で製作する。
 6BQ5(3結)シングルの動作例は下表のとおりである。 無信号時のプレート電流34mA、最大出力1.95Wで、SE−5K4Wの規格内に収まっている。 OPTの損失を考慮した最大出力は1.6W程度となる見込み。


《 使用部品 》

主要部品は下記の通り。

 品  名 型  式 メーカー 備  考
 OPT SE−5K4W ARITO's Audio Lab 新品
 電源トランス 4A32 ラックス 中古再塗装品
 CHコイル PMC−518H ゼネラルトランス 新品
 シャーシー O−17 奥澤 300(W)×200(D)×40(H)
 出力管 6BQ5 東芝 未使用品
 初段 12AT7(6201) GE 中古品
 整流管 6CA4 東芝 未使用品
 ブロック電解コンデンサー 350V100μF×2 日本ケミコン 中古品

《 回路構成 》

 B電源は240Vの両波整流で約294Vを供給する。初段は12AT7のSRPPとする。 出力管の6BQ5は3結動作とし、回路は平凡な2段構成アンプである。
 6BQ5の無信号時プレート損失は約8.5W で、許容プレート損失12Wに対して約71%となっている。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力約0.4Vで最大出力1.65Wが得られた。 20HZにおける最大出力は中域の65%が得られ、小型OPTにしては非常に優秀である。 高域の遮断周波数(−3dB)は75KHZ付近となった。
 1W出力時の歪率は1.8%程度で決して低歪アンプではないが、100HZ、1KHZ、10KHZとも同じようなカーブとなっていた。
 NFBは7.2dB、残留雑音は0.06mV、DFは3.8であった。交流点火にも関わらず極めて低雑音アンプに仕上がった。

《 その他 》

 このアンプは部品点数が少なく、内部配線は3日ほどで完了した。
 ARITO's Audio LabのOPTはコスト・パフォーマンスが非常に優れていると思われる。



背     面


内 部 配 線





LCH 8Ω 0.7W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 0.7W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)








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