右の図は6FM7第2ユニットのプレート特性図である。
この図に3.5KΩのロードラインを引いて計算したところ、プラス5Vからマイナス73VまでのA2級ドライブで 約3.43Wの最大出力が得られる模様である。 (334−25)×(0.093−0.004)÷ 8 ≒ 3.43 W さらに、OPTの効率を87%と仮定すれば約2.98Wと計算できる。 赤色楕円は誘導性負荷のロードラインを表している。 緑の矢印は回転方向。この場合、サイン波形で右肩のクリップが早く始まることを示している。 20HZ出力1.25W時の歪波形 |
最大出力は負荷2.5KΩと3.5KΩでほとんど差は見られなかったので、より低歪となる3.5KΩを採用した。
クリッピングレベルグラフ参照。
U−608には3.5KΩタップが設けられていないので、1次側を7KΩに接続、2次側は16Ω端子に8Ω負荷を接続することで実現している。
この方法は定損失が増加する反面、OPTに遊び巻き線がなくなる影響で高域特性が良くなると思われる。
《 最大出力、測定結果 》 1KHZでは入力0.55V時にノンクリップ最大出力3Wが得られ、上記計算結果とほぼ一致した。 しかし、20HZにおける最大出力は中域の33%まで低下していた。小型OPTの限界と思われるが、U−608はなかなか優秀である。 特に高域特性が優れているのではないだろうか。 周波数特性では500〜600KHZ付近に小さなディップが発生しているが良好であった。 左CHの200KHZ付近小さな変化が見られたが、10KHZ矩形波にも変化が表れていた。 高域遮断(−3dB)周波数は110KHZ付近となった。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答もまずまずの結果が得られた。 1KHZ、10KHZの歪率はシングルアンプとしては良好な結果が得られたが、100HZは良くない。 OPTの特性が影響していると思われる。クロストークもシングルアンプとしては優秀である。 NFBはLCHが6.5dB、RCHが7.3dBと左右で異なっているのは、球のバラツキによる左右の利得差を調整した結果である。 残留雑音はLCH 0.24mV、RCH 0.15mVで優秀、LCHのDFは3.8、RCHは5.1であった。 無信号時の出力管のプレート損失は9.28Wで、許容プレート損失内に収まっている。 《 その他 》 こんな小さな複3極管で2A3シングルに匹敵する最大出力が得られ、もっと活用されるべきと思う。 直線性は悪いが、初段との歪打ち消し効果で十分低歪とすることができる。価格は2A3の1/6と廉価である。 直結カソードフォロアードライブは最大出力増加のみでなく、低インピーダンスドライブによる高域特性改善に効果がみられ、入力容量の大きい3極管のドライブには適している。 ケースに収めたU−608 背 面 内部配線 |
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