(1)OPTにPMF-10WS(ハイライトコアー)を使用した試作機
《 回路構成 》
ロフチンホワイトアンプでは初段と出力段は直結となる。そのため、ダイオード整流を採用した場合、出力管コントロールグリッドは初段がウォームアップする間、高圧にさらされる。
その時、初段をSRPPで構成すればその弊害を防止することが可能である。
SRPPの上段カソードの対アース電圧と出力段カソードの対アース電圧の差がバイアス電圧となるため、SRPP出力点電圧をはドライブ電圧を確保できる範囲で出来るだけ低くした方が都合が良い。
そこで上段カソード抵抗を10KΩに設定した結果、出力点の対アース電圧は84V、下段プレート電圧は81Vとなった。
この条件でもドライブ電圧のピーク値は18V程度であるから十分ドライブ可能と思われる。
《 最大出力、測定結果 》
最大出力は2.7W(クリップ開始)が得られたが、直結カソードフォロアー方式の67%程度となっている。
それでも、6GA4のプレート電圧250V時最大出力は2.2Wであるから、単にCR結合でドライブした場合の23%増となっている。
NFBは内側ループ、外側ループ合計で11dBが掛かっている。DFは7.5(ONOFF法)、残留雑音は両chとも0.15mVであった。
矩形波応答、周波数特性、歪率などは決して良いとは言えないものであるが、オリエントコアーのOPTを使用すればもう少し諸特性が改善されるのではないだろうか。
また、6GA4スーパーカソードNFBシングルアンプと比較して歪が一桁悪い原因は2次歪の打消し動作が行われていないこと、NFBが少し少ないことが影響していると思われる。
しかし、再生音に差は感じられない。
(2)OPTをPMF-7WS(オリエントコアー)に交換した試作機
《 回路構成 》
回路構成はOPTをPMF-7WSに交換したのみで、他の部分は全く同じである。
《 最大出力、測定結果 》
入力0.8Vで最大出力は2.4W(クリップ開始)が得られたが、測定時の電源電圧が低いことが影響していると思われる。
回路定数が同じであるからNFB量、DF値、残留雑音等に変化はない。
矩形波応答、歪率特性はかなり改善されているが、OPTのコアーボリュームが小さくなているため10HZ付近の最大出力は低下している。
周波数特性でも高域が伸びているが210KHZ付近に大きなディップが発生している。
10KHZの矩形波応答から見れば、高域補償回路が効きすぎているようである。
(3)上記アンプの回路定数を見直した試作機
《 回路構成 》
高域補償回路を追加変更し、NFBを16Ω端子ではなく8Ω端子から戻すことにより、2dB程度減じた。
また、初段SRPP下段カソード抵抗を3KΩとし、バイアス電圧を少し深くした。そのため、初段出力点の電圧が上昇したので、デカップリング抵抗を大きくして調整した。
OPT2次側のCRを0.1μF+30Ωに変更し、NFB抵抗並列のコンデンサーを150PFに減量した。(微分型位相補償)
《 最大出力、測定結果 》
入力0.65Vで最大出力は2.4W(クリップ開始)が得られた。
8Ω端子からNFBを戻したことによりNFB量は9.6dBに減少し、DF値は6.8に低下した。残留雑音にほとんど変化はない。
矩形波応答、周波数特性はかなり改善されている。全体的に歪率は悪化しているが、高域補償回路定数を変更した結果、10KHZは100HZ、1KHZと比べて良いデータが得られた。
210KHZ付近の大きなディップはそのままである。
《 まとめ 》
やはり、ハイライトコアーとオリエントコアーでは測定データ上歴然とした差が見られる。しかしながら、6V6GTの場合と同じで、再生音にほとんど差は感じられなかった。
OPT高域特性のバラツキはPMF−7WSの方が大きく、PMF−10WSの方が小さい。これは単なる偶然の結果であり、バラツキは必ず存在する。
タムラ製は使用経験がないので分からないが、他のメーカーではかなりの頻度で発生する。1次側巻き数の少ないPMF−20W600Sなどは比較的良好である。
OPTをPMF-7WSに交換した6GA4ロフチンホワイトアンプ
内部写真
|