直結カソードフォロアードライブ6GB8(3結)シングルアンプ
令和2年10月29日
直結カソードフォロアードライブ6GB8(3結)シングルアンプ
《 はじめに 》
先日オークションで入手したシングルアンプに使われていた6GB8は劣化もなく特性の揃った良品であったので、
この球を3極管接続、直結カソードフォロアードライブとしてシングルアンプを製作する。
下表は3極管接続時の動作例であるが、直結カソードフォロアードライブとすることで10W近い最大出力が得られそうである。
《 使用部品 》
電源トランスは山水製PV−180、OPTはISOタンゴ製U−808、CHコイルはタンゴ製525(5H250mA)を使用する。
使用球は東芝製6GB8、EI製6BL8である。
ケースは奥澤製O−8(350×250×60)にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドに水性ニスを塗った木板を取り付ける。
《 回路構成 》
B電源は155Vの倍電圧整流、マイナス電源は32Vのブリッジ整流とする。
6GB8は高感度で、ドライブ電圧は20V程度あれば十分である。
初段は6BL8の5極管部で利得を上げ、3極管部で直結カソードフォロアードライブとする。
今回はドライブ電圧が低いのでカソード抵抗の代わりにCRDを使用する。
規格表のカソード抵抗は160Ωであるが233Ωに設定した。その結果、カソードはプラス22Vとなり規格表のバイアスよりも深くなっているが、
グリッド電圧をプラスに設定することにより実質のバイアス電圧はマイナス16.5V程度となっている。
また、カソードフォロアー段のバイアス電圧を調整することにより6GB8のプレート電流が調整可能な回路構成となっている。
上記規格表では負荷抵抗は2KΩとなっているが、今回はA2級動作であることから2.5KΩにした。
A2級動作では負荷抵抗を少し大きく設定した方が最大出力、ひずみ率の点で好結果が得られる。
《 最大出力、測定結果 》
1KHZでは入力1.6V時にノンクリップ最大出力9.2Wが得られた。
6GB8が高感度球であることから、初段のカソードバイパスコンデンサーを無くし、プレート負荷抵抗を68KΩとして利得を下げた。
周波数特性では320KHZ付近にディップが発生しているが概ね良好であった。
高域遮断(−3dB)周波数は82KHZ付近となった。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答もまずまずの結果が得られた。
右CHの130KHZ辺りに小さなピークが発生している原因はOPTの特性と思われる。10KHZ矩形波にもその影響が表れている。
NFBは内側ループのみで6dB、外側ループのみで10dB、内外合わせて12dBとなった。
OPT1次側からのNFBにより出力管の見かけの内部抵抗が低下し、20HZにおける最大出力は1KHZの約60%が得られ、シングルアンプとしてはまずまずである。
残留雑音はLCH 0.4mV、RCH 0.35mVで良好、DFは左右CH共5.1であった。
無信号時の出力管のプレート損失は33W、SG損失は1.5W程度で最大定格内に収まっている。
《 その他 》
このアンプでも初段のSG電圧を調整して歪打ち消し動作を行わせて結果、1W時の歪率が100HZ0.14%、1KHZと10KHZは0.07%に収まった。
初段スクリーングリッドのブリーダー抵抗は大きくしても小さくしても歪率が一気に悪化するので注意が必要である。
電力感度が少し低くなっているが、通常の使用状態では全く問題ない。
6GB8は高感度で使いやすい球である。中古品であればオークションで比較定安価で入手可能である。
背 面
内部配線
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