直結カソードフォロアードライブ6GF7Aシングルアンプ   令和2年12月2日 


直結カソードフォロアードライブ6GF7Aシングルアンプ


《 はじめに 》

 6GF7Aは高μ3極管と低Rp3極管で構成されたTV垂直発振出力用のノーバル9Pベース複3極管である。
 下表は6GF7Aの設計最大値定格と動作例であるが、第2ユニットのプレート損失11W、内部抵抗750Ωとなっている。
 以前整流管と合わせて3球構成でロフチンホワイト型アンプを自作したことがあるが、最大出力は2W少々であった。 今回は直結カソードフォロアードライブで3.5W程度を目標とするアンプに仕上げる。


《 使用部品 》

 電源トランスはゼネラルトランス製PMC−100M、OPTはSEL製T−4646、CHコイルはゼネラルトランス製PMC−518Hを使用する。 OPTはサンバレー製2A3シングルアンプに使用されていたもので、ケースは大きいが本体は少し小さい。
 使用球はIEC(Mullard)製6GF7A、東芝製6AU6、松下製6CA4の5本である。
ケースは奥澤製O−9(350×200×60)にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドに水性ニスを塗った木板を取り付ける。

《 回路構成 》

 B電源は6CA4で280Vを両波整流、マイナス電源はFRダイオードで200Vを両波整流して供給する。
 初段は6AU6で利得を上げ、6GF7Aの第1ユニットで直結カソードフォロアードライブとする。
 6GF7Aは一応ペアーチューブを使用する。 そこで、カソードフォロアー段を半固定バイアスとし、出力段のプレート電流を調整出来るようにする。
下表は6GF7A第2ユニットのプレート特性図である。 この図に7KΩのロードラインを引いて計算したところ、プラス5Vからマイナス105VまでのA2級ドライブで約3.74Wの最大出力が得られる模様である。

  (487−27)×(0.072−0.007)÷8 ≒ 3.74W

 さらに、OPTの効率を93%と仮定すれば 約3.5Wと計算できる。



《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力0.7V時にノンクリップ最大出力3.5Wが得られ、上記計算結果と一致した。 しかし、20HZにおける最大出力は中域の20%まで低下していた。OPTの特性ではないだろうか。
 周波数特性では100KHZ以上で小さなピークやディップが発生しているが概ね良好であった。 高域遮断(−3dB)周波数は50KHZ付近となった。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答もまずまずの結果が得られた。
 1KHZ、10KHZの歪率はシングルアンプとしては良好な結果が得られたが、100HZは良くない。 低域最大出力低下と同じくOPTの特性が影響していると思われる。
 NFBはLCHが6.5dB、RCHが7.3dBと左右で異なっているのは、球のバラツキによる左右の利得差を調整した結果である。 残留雑音はLCH 0.05mV、RCH 0.12mVで優秀、LCHのDFは3.9、RCHは4であった。 クロストークもシングルアンプとしては優秀である。
 無信号時の出力管のプレート損失は9.7Wで、最大プレート損失内に収まっている。

《 その他 》

 こんな小さな複3極管で2A3シングルに匹敵する最大出力が得られ、価格は2A3の1/5と廉価である。 最大出力が2W強であれば2〜3球でシングルアンプを構成することができる。TV球はもっと見直されるべきである。



OPT T−4646 ケースと比較して本体は小型


背  面


内部配線







LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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