ロフチンホワイト型6GF7Aシングルアンプ
令和1年6月20日
ロフチンホワイト型6GF7Aシングルアンプ
《 はじめに 》
ロフチンホワイト型アンプは出力管のカソード電圧を高くし、前段と直接結合としたアンプである。
カップリングコンデンサーなしとすることで、低域時定数が出力トランスのみと看做せることから、低域特性が良好なアンプにすることができる。
今回はTV垂直発振出力用として開発された複3極管6GF7Aを使用してコンパクトなアンプとする。
6GF7Aの第1ユニット、第2ユニットの規格は下表の通りである。
これによれば第2ユニットはμ5.4、内部抵抗750Ω、プレート損失11Wである。
直線性はお世辞にも良いとは言えないので偶数次の歪が多くなるのではないだろうか。
しかし、小型3極出力管として十分使用できると思われる。
《 使用部品 》
電源トランスはSEL製SD−2820、OPTは春日製KA−6625S、CHコイルも春日製KAC−5150(5H150mA)を使用する。
使用球は6GF7A(GE製)と整流管6CA4(松下製)の3本である。
ケースは奥澤製O−18(300×170×60)にシルバーメタリック塗装を施し、両サイドに水性ニスを塗った木板を取り付けて使用する。
《 回路構成 》
下表は6GF7A第2ユニットの動作点をプレート電圧188V、プレート電流45mA、バイアス電圧−28Vと仮定して、
プレート特性図上に2.5KΩロードラインを記入したものである。
それに基づいた最大出力は下の計算式の通りである。
(272−60) × (0.094−0.011) ÷ 8 ≒ 2.2(W)
最大出力を大きくするためには出力段のカソード電圧を低くし、プレートカソード間電圧を高くすれば良い。
そのためには前段のプレート電圧を低くし、カソード抵抗を小さくすれば良いのであるが、
あまり低いと前段のプレート電圧が低下して十分なドライブ電圧が得られない。
今回はカソード抵抗に3KΩ20Wを使用し、プレート電流45mA、カソード電圧135Vになるように前段プレート電圧を調整した。
その時のバイアス電圧は想定していた28Vにピッタリあった。
B電源は280Vをダイオードと整流管を使った変則的なブリッジ整流で約350Vを供給する。
NFBは出力管のプレートから初段カソードへ僅かな負帰還を掛けた多重帰還方式とする。
《 最大出力、測定結果 》
1KHZでは入力1.1V時にノンクリップ最大出力2.1Wが得られた。上記計算値にOPTの効率を乗ずればほぼ一致している。
周波数特性では120KHZ付近に小さなピークが発生しているが概ね良好であった。
高域遮断(−3dB)周波数は62KHZ付近となり、少し低い。また、容量負荷時の10KHZ矩形波応答もまずまずの結果が得られた。
さすがに低歪とは言えない結果であったが、100HZ、1KHZ、10KHZとも同じようなカーブを描いている。
NFBは内側ループ1.7dB、外側ループ6.5dB、合計で8.2dBとなった。
残留雑音は左右とも約0.17mVで良好、DFは3.7(オンオフ法)あった。
無信号時の出力管のプレート損失は8.3Wで、最大プレート損失に対して75%程度と十分余裕のある動作である。
《 その他 》
最大出力2W少々でもよほどの低能率SPでない限り、通常の使用状態では問題なく使用できた。
また、ロフチンホワイトアンプでB電源をダイオードのみの整流、あるいは直熱整流管とした場合、SWオン直後に出力管のグリッドに高電圧が供給され、
一時的にプレート電流が増加する現象が現れる。それを防止するためには前段をSRPP回路で組むか整流管に傍熱型を使用すれば解決できる。
このアンプではダイオードと6CA4のハイブリッド回路とした。
背 面
内部配線
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