直結カソードフォロアードライブ6V6GT(T)シングルアンプ 令和3年7月19日


直結カソードフォロアードライブ6V6GT(T)シングルアンプ


《 はじめに 》

 6V6−GTシングルアンプは平成25年にロフチンホワイト型シングルを製作したのみで、その時はビーム管接続であった。 今回は3極管接続で製作する。
 6V6-GT3結シングルの動作例は下表のとおりであるが、プレート電圧250Vにおける最大出力1Wで少し小さい。



 そこで今回は直結カソードフォロアードライブA2級動作で検討する。 一般的にビーム管の3極管接続は内部抵抗が少し高く、A2級ドライブすれば大幅な最大出力増加が見込める。

《 使用部品 》

主要部品は下記の通り。
 品  名 型  式 メーカー 備  考
 OPT PMF−11WS−5K ゼネラルトランス 新品
 電源トランス 4A32 ラックス 中古品
 CHコイル PMC−518H ゼネラルトランス 新品
 シャーシー O−10 奥澤 350(W)×200(D)×40(H)
 出力管 6V6−GT ソブテック ほぼ新品
 ドライブ管 6SN7−GT ゴールデンドラゴン 中古品
 初段 6AU6 GE 未使用品
 整流管 5Y3−GT GE 中古品


《 回路構成 》

 B電源は290Vの両波整流で286Vを供給する。 マイナス電源は0.22μFと12.7KΩで分圧しダイオードによる半波整流で−83Vを供給する。 12.7KΩは30KΩ3Wと22K5Wの並列であるが、これらの抵抗はかなり高温となるので放熱に注意が必要である。
 下の図は6V6−GT3結のプレート特性上に5KΩのロードラインを引いたものである。 プレート電圧250V、プレート電流37.5mAを動作点とするA2級動作である。 


 上の図で約+15Vから−47VまでのA2級ドライブしたときの最大出力は

   (404−53)×(0.077−0.007)/8 ≒ 3.07(W)

 さらにOPTの効率を93%とすれば

   3.07 × 0.93 ≒ 2.85(W)

と計算できる。  6V6−GT無信号時のプレート損失は 9.48W で、許容プレート損失12.5Wに対して75%となった。
 回路図のカソード電圧は12.1Vであるがグリッドがマイナスのため実際のバイアス電圧はLCH−16V、RCH−16.1Vとなる。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力約0.35Vで最大出力2.5Wが得られた。 上記計算値を少し下回った原因は出力管の動作領域が推定値よりも少し狭いためと思われるが、動作例の2.5倍が得られた。 20HZでは中域の40%の最大出力が得られ、まずまずの低域特性と思われる。
 歪率は1W時1〜1.3%程度でソフトディストーションカーブを描いている。
 周波数特性は10HZで−0.2dB、52KHZで−3dB、80KHZ以上ではピークやディップが発生している。 左右で高域特性に差が見られるがOPTのバラツキと思われる。
 NFBは8.5dB、残留雑音は0.2mV未満、DFは4.5であった。
 クロストーク、特にR→Lが悪化している原因はカソードフォロアー段の右CHカソードとLCHグリッドが隣り合わせのピンとなっているためと思われる。 同じ6SN7でも他社製品では更に3dB程度悪化していた。 12AU7などピン配列の違う球を使用すれば少し改善されるのではないだろうか。

《 その他 》

 6V6−GTは6L6GCと同じくグリッド電流に強い特性を示し、A2級動作に入っても波形の乱れが少ない。 しかし、最大出力付近ではグリッド電流の影響でカソードフォロアー段プレート電圧が低下し、動作点はかなり移動している模様である。
 カソードフォロアー段プレート回路に挿入しているZDは、最大出力付近での出力管グリッド電流増加に対応するためである。
 6V6−GT3結のA2級動作は思った以上に良好な結果が得られたが、グリッド電流増加対策が不可欠と思われる。



背     面


内 部 配 線





LCH 8Ω 0.7W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 0.7W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)









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