直結カソードフォロアードライブEL−34(UL)シングルアンプ


直結カソードフォロアードライブEL−34(UL)シングルアンプ


《 はじめに 》
 このアンプは、FW−20Sを廉価で入手した知人からの依頼で製作した。 最近では6GW8ロフチンホワイト、直結カソードフォロアー50CA10に続く第3作目のシングルアンプである。
 依頼主もシングルアンプは持ってなく、シングルの能力を確かめたいとのことであったので、出来るだけ高性能?大出力を狙ったアンプとして設計製作することとした。 

《 使用部品 》
 OPTはFW−20S(タンゴ)、電源トランスはW−220(SEL)、CHコイルはCH3−250(タンゴ)を使用、ケースはリード製カバ−付アルミシャ−シP−11とする。 このケースは300×180×70で少し小さすぎるが、他に廉価で適当な物が見当たらない。S−4(リード製300×200×60)は安いが、裏蓋がないので加工がひと手間増す。 また、SRDSL−8(タカチ)がサイズ的にはちょうど良く、デザインも気に入っているが高い。等々で、P−11に決定した。
 出力管のEL−34は中古品ではあるが、一応テレフンケン製、6BL8はPhlips.ECGを使用した。写真でも菱形マークが残っていることが判別できるが、現在では非常に高価である。

《 回路構成 》
 最大出力の増加を狙って直結カソードフォロアードライブとした。この方式は5極管接続ではあまり効果がなく、3極管接続あるいはUL接続時に効果を発揮する。
 カソードフォロアー回路のカソード抵抗には定電流ダイオードE−102(1mA)をパラで使用している。
 直結カソードフォロアードライブ固定バイアス方式では、一般にマイナス電源が必要である。今回はB電源巻き線(250V)から0.47μFと22KΩで分圧整流して供給した。 この時、ヒーターカソード間の耐圧に注意しなければならない。現在の回路定数ではヒーターウォームアップまでの間、H−K間定格電圧を超えるので、ZD(RD−56)でクランプしている。
 初段6BL8(5極部)のスクリーン電圧が20V台と低いが、歪率の最良点を模索した結果であり、最大出力の低下などの問題は起きていない。 もっとも、EL−34のバイアス電圧は−13V程度であるから、初段の出力電圧が問題となるレベルではない。

《 最大出力、測定結果 》
 最大出力は9.4W(クリップ開始)が得られたが、直結カソードフォロアーの効果と思われる。 UL接続のCR結合ドライブ方式では7.5W辺りが限界であるから、OPTの定損失(0.54dB)を考慮すれば30%以上増加していることになる。
 NFBは13.3dB、残留雑音は0.3〜0.4mV程度である。あまり低歪アンプとは言えないデータであるが、ソフトディストーション傾向となっている。 低域は思った以上に伸びているが、高域のピークを消し去ることは出来ない。 10KHZ矩形波応答はお世辞にも綺麗とは言えない状態で、SEPPOTLアンプとは比較にならない。これがOPT付きアンプの宿命であろうか。

《 その他 》
 使用したW−220(SEL)のタップは250Vと280Vであるため、B電圧が高すぎる。 560Ω20Wで調整しているが発熱がかなり多い状態である。 冬場でもシャーシー内部温度は50度近くまで上昇するので、夏場はかなり熱くなる可能性がある。 その時はドロップ抵抗をシャーシー外部に取り付ける等の対策が必要となるかも知れない。
 200Vタップのあるトランスを使用すれば発熱はかなり抑えることが出来るであろう。 しかし、シングルアンプはリップルの影響が大きいので、リップル低減には抵抗でドロップさせる方式、あるいは半導体リップルフィルターの使用が効果的かも知れない。



背面


内部配線





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)







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