直結カソードフォロアーEL34(3結)シングルアンプ   平成24年3月25日 


直結カソードフォロアーEL34(3結)シングルアンプ


《 はじめに 》
 平成22年2月に製作した直結カソードフォロアーEL−34(UL)シングルアンプは手元に残っていないので、手持ちの部品を使用してEL34(3結)シングルアンプを製作した。

《 使用部品 》
 OPTはノグチPMF−15WS、電源トランスは西崎電特注品、CHコイルはノグチPMC−228を使用した。 ケースはリードMK−350、出力管のEL34はプリントが消えてしまっているが、20年以上前に購入した松下製(太管)と記憶している。

《 回路構成 》
 初段は6U8の5極部で利得を稼ぎ、3極部は直結カソードフォロアーとして利用する。この方式は5998A、17KV6A、6GA4、6336Bなどのシングルに使用して好結果を得ている。
 出力管プレートから初段カソードへの負帰還を採用した多重ループ帰還方式である。これにより、出力管内部抵抗が低下し、DF値を大きくすることができる。
 なお、EL34(3結)の規格は下記のとおりである。
   
 負荷抵抗3KΩであるが、PMF−15WSでは1次側2.5Kオームか3.5KΩが使用出来る。 3極管シングルでは負荷抵抗が大きい方が低歪となるので今回は3.5KΩとした。
 規格表のカソード抵抗370Ω、プレート電流70mAから計算すればカソードバイアス電圧は25.9V、プレートカソード間電圧は349.1Vである。
 このアンプのカソード抵抗は387Ω(470Ωと2.2KΩ並列)となっているが、カソードフォロアー段との直結部分対アース電圧が+6V前後となるため、少し大きくしている。 正味の自己バイアス電圧は22V程度である。
 初段のSG電圧は左右で異なっているが、SG電圧を調整することにより出力段との2次歪打消し動作を行っている。 これにより1KHZ歪率を1/10程度まで下げることが可能であるが、調整には歪率計が必須である。

《 最大出力、測定結果 》
 プレート電圧327V(355V−28V)、プレート電流72.4mAの条件でプレート損失は23.7Wとなり、許容損失の範囲内である。
 最大出力は入力電圧0.9Vで7.9W(1KHZクリップ開始)が得られた。プレート電圧が22V低いこと、OPTの効率(90%)を考慮すれば60%程度最大出力が増加していると計算される。 3極管の直結カソードフォロアードライブは非常に有効な手段である。
 RCHの10KHZ矩形波応答があまり芳しくないが、OPT特性のバラツキの影響と思われる。 このOPTは 別のアンプ でも同じような傾向を示していた。 70〜80KHZ付近にピークが発生しているが、RCHでは手前で一旦低下し上昇に転じていることがはっきりと分かる。 また、RCHの100HZ歪率が良くないが、原因は不明である。
 40HZにおけるノンクリップ最大出力は中域の60%強が得られているので、シングルアンプとしてはまずまずの低域特性である。
 NFBは内外ループ合わせて12.5dB、DFは6.6(ON/OFF法)、残留雑音はLch0.23mV、Lch0.22mVであった。

《 その他 》
 電源投入直後のB電圧が電解コンデンサーの定格電圧400Vを少し超えるが、10秒程度で定格電圧内に収まるので特に問題ないであろう。
 部品配置不良のため、初段周りの配線が込み入ってしまった。ラグ板を数cm中央に寄せた方が組み易かったと思われる。特に出力段から初段カソードへの帰還抵抗(100KΩ3W)はリード線を長くして取り付けたが、途中に中継点を設けるべきである。



内部配線

背  面

カバー付





LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)







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