直結カソードフォロアードライブKT−66(3結)シングルアンプ   令和4年7月30日 


直結カソードフォロアードライブKT−66(3結)シングルアンプ


《 はじめに 》

 KT−66を使ったアンプは経験がなかった。今回は直結カソードフォロアードライブシングルアンプとする。 KT−66(3結)シングルの動作例は下記の通りである。プレート電圧400V、バイアス−38V、負荷抵抗4.5KΩの条件で5.8Wの最大出力となっている。



 この条件でA2級ドライブとした場合の最大出力について検討する。 下表はKT−66(3結)プレート特性図にプレート電圧400V、プレート電流63mA(バイアス−38V)を動作点として5KΩのロードラインを記入したものである。

   (670−40)×(0.134−0.01)÷8=9.765W

 プラス15Vからマイナス91VまでドライブすればOPT1次側で約10Wの最大出力が得られる模様。 OPTの効率を考慮すれば約9W程度が見込める。



《 使用部品 》

 OPTはU−808(TANGO)、電源トランスはPMC−170M(ノグチトランス)、CHコイルは6BC5(LUX)を使用する。 シャーシーは奥澤製O−9(350×200×60)にシルバーメタリック塗装を施し、左右に木板を取り付ける。 底板はアルミ1.2oに通風孔とゴム足を取り付けて使用する。
 初段とカソードフォロアー段には6U8A(東芝製新古品)、出力管にはKT−66(JJ製新品)を使用する。

《 回路構成 》

 初段の6U8A5極管部で利得を稼ぎ、6U8A3極管部でKT−66をカソードフォロアードライブする。 KT‐66(3結)のA2級におけるドライブ電圧はピーク値で53V程度が要求されるので、初段への供給電圧は高い方が良い。
 B電源は350VをIS−2711で両波整流し、476Vを供給する。 マイナス電源は70Vタップから半波倍電圧整流し112Vを供給する。 70Vを半波倍電圧整流した場合、マイナス電圧が高すぎるので、トランスタップと電解コンデンサ(47μF200V)の間に2.2KΩ2Wを挿入している。
 KT−66(3結)の負荷抵抗は5KΩとする。U−808では3.5KΩも選択できるが、5KΩの方が低歪に仕上がるのではないだろうか。
 無信号時のプレートカソード間電圧401V、プレート電流63mA、プレート損失25.26Wに設定した。許容プレート損失の設計最大値27Wを下回っている。

《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力1.08V時に最大出力10Wが得られた。OPTの損失を考慮すれば、上記計算結果をかなり上回っている。 最大出力付近ではバイアスが深くなり、動作点が移動しているためと思われる。
 20HZにおける最大出力は中域の35%程度に低下していたが、3.5KΩ負荷とすればもう少し改善されるのでないだろうか。
 0.7W出力時の周波数特性は10HZ±0dB、79KHZ−3dBとなった。 左CHでは300KHZ、右CHでは390KHZ付近に大きなディップが発生し、左右で異なっている。 これはOPT特性のバラツキと思われる。
 NFBは8.5dB、DFは6.9(ON/OFF法)、残留雑音は0.12mV程度であった。 1W時の雑音歪率は0.3%未満でシングルアンプとしてはまずまずの結果が得られた。



内部配線


背  面


底  面






LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












inserted by FC2 system