直結カソードフォロアードライブKT−88(3結)シングルアンプ   平成28年10月8日 


直結カソードフォロアードライブKT−88(3結)シングルアンプ


《 はじめに 》

 以前から少しづつ集めた部品を使ってこのアンプを製作した。 KT−88を使ったシングルアンプは初めての挑戦であるが、このアンプも直結カソードフォロアードライブとする。

《 使用部品 》

 OPTはU−808、電源トランスはST−230、CHコイルはCH−3−250とトランス類はすべてタンゴ製で揃えることができた。 シャーシーもオークションで入手した410×205×55の鉄製であるが、天板はアルミ1.5oを加工して製作した。 シャーシ天板は穴あけ加工後、アルミ用エナメル(シルバーメタリック)塗料を吹き付けた。 エナメル塗装はアクリル塗装よりも硬化が早く仕上がりも丈夫で使いやすい。
 初段と次段、カソードフォロアー段には手持ち球から12AU7(松下、東芝、NEC)を選別して使用、出力管KT−88はEH製新品を使用した。

《 回路構成 》

 初段と次段は12AU7で、段間は直結にした。 出力段との歪打消し動作をさせるため、2段目のカソード抵抗をプレート負荷抵抗よりも大きくし、動作点は通常の位置よりもバイアス深めな設定とした。 これで波形の上下が同時にクリップ開始するようになり、ひずみも低下させることができた。 しかし、KT‐88のA2級におけるドライブ電圧はピーク値で40V程度が要求されるので、ぎりぎりの条件である。
 カソードフォロアー段は12AU7のパラとした。マイナス電源は36Vと6.3Vを直列にした42.3Vを倍電圧整流して−98Vを供給、B電源は135Vの倍電圧整流で約350Vを供給した。 
 KT−88(3結)の負荷抵抗は2.5KΩとした。このアンプは3段負帰還となっているので、OPT2次側を逆接続にしている。  1次側のBとPを入れ替える方法はシングルアンプの場合は推奨されない。このアンプでも高域遮断周波数(‐3dB)がかなり低くなっていた。 巻き始めがB端子側となっているため、巻き線と鉄心間の静電容量が影響している模様である。
 無信号時のプレートカソード間電圧316V、プレート電流90mA、プレート損失28.44Wに設定した。

 下の図はKT−88(3結)プレート特性図に2.5KΩのロードラインを記入したものである。 (Ec=+5V、+10Vのラインは推定)
 動作点は完成後に各部電圧から推定したものであるが、プレート電圧316V程度のA1級シングル動作では5W程度が限度である。 しかし、A2級動作をさせた場合の最大出力は10W近くまで増加すると思われる。



《 最大出力、測定結果 》

 1KHZでは入力0.66V時に最大出力9.4Wが得られた。OPTの損失を考慮すれば、上記計算結果をかなり上回っている。 20HZにおける最大出力は中域の50%以上得られているので、シングルアンプとしては非常に優秀である。
 0.7W出力時では10HZ±0dB、73KHZ−3dBとなった。
 NFBは7.8dB、DFは5.2(ON/OFF法)、残留雑音は0.2〜0.4mV程度であった。 1W時の雑音歪率は0.5%未満でシングルアンプとしてはまずまずの結果が得られた。

《 その他 》

 3段負帰還回路でU−808を使用するには、1次側を逆接続(PとBを入れ替え)したのでは高域特性が悪化する。 そこで2次側を逆接続とするわけであるが、2.5KΩ/8Ωの場合、2次側1番ホット、4番アースとし、5番端子は使用しない。 同様に3.5KΩ/8Ωでは2次側1番ホット、3番アース、5KΩ/8Ωでは2次側1番ホット、2番アースとしなければならないので注意が必要である。



内部配線


背  面






LCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)

RCH 8Ω 1W 矩形波
100HZ
1KHZ
10KHZ
10KHZ(0.1μF)
10KHZ(0.47μF)












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